四神(読み)シジン(その他表記)sì shén

デジタル大辞泉 「四神」の意味・読み・例文・類語

し‐じん【四神】

天の四方をつかさどる神。東の青竜せいりょう、西の白虎びゃっこ、南の朱雀すざく、北の玄武げんぶのこと。四獣

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精選版 日本国語大辞典 「四神」の意味・読み・例文・類語

し‐じん【四神】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天の四方の星宿。また、その方角をつかさどる神。東の青龍(せいりょう)、西の白虎(びゃっこ)、南の朱雀(しゅじゃく)、北の玄武(げんぶ)をいう。また、それぞれの居所様相になぞらえて、地相上で、東方に流水、西方大道南方に汚地(おち)北方丘陵があることを示す。四獣。
    1. [初出の実例]「城東尋寺一逡巡、其地勝形備四神」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)九・夏日東光寺即事〈中原広俊〉)
  3. 中国で、四季をつかさどる神。春の句芒(こうぼう)、夏の祝融(しゅくゆう)、秋の蓐収(じょくしゅう)、冬の玄冥(げんめい)をいう。

四神の語誌

は古く中国から入ってきた思想で、守護の役割から墳墓の壁面や鏡(四神鏡)にも描かれており、なかでも高松塚古墳壁画は有名。墳墓や都を築く場所にも四神思想がとりいれられた。→四神相応(しじんそうおう)

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改訂新版 世界大百科事典 「四神」の意味・わかりやすい解説

四神 (ししん)
sì shén

中国の古代に発祥する四つの方位を表す象徴的動物。東を青竜蒼竜とも),南を朱雀(しゆじやく)(〈すざく〉ともいう),西を白虎,北を玄武で表す。戦国時代前期の,曾侯乙墓出土の漆器の蓋に,北斗二十八宿とともに竜と虎とが描かれて,四神の観念の基礎となるものが天空上の星座と結びついて,すでに生まれていたことを示す。この竜虎の組合せに朱雀と玄武とが加わったのは,四霊(麟,鳳,亀,竜)の観念と結合したからであろうか。とくに玄武が,亀と蛇とのからみ合った図象で表されるのは,北方が,五行思想によれば水であり冬の季節にあたるところから,冬至の時期に宇宙的規模の性的結合があって世界が再生すると考えられたことによろう。なお四神のそれぞれに色が配当されているのも五行の観念による。四神の組合せに近いものは前漢時代のいくつかの文献に見えるが,現在の形にそろうのは《礼記》曲礼篇のものが最も古いであろう。四神の図像は,前漢時代末から器物や墓中の壁画などに見えるようになり,後漢時代には四神鏡や画像石などに盛んに出現し,一つの小宇宙を象徴する図像として後代に引きつがれる。また中国以外の地域にも伝播し,高句麗の壁画墓,日本の高松塚古墳などにそれを見ることができる。
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普及版 字通 「四神」の読み・字形・画数・意味

【四神】しじん

四方の星。〔留青日札〕(四神四霊四祥)天に(東)・白虎(西)・朱雀(南)・玄武(北)四星のり。りて地に在りては則ち・虎・鳥・龜の象と爲る。兵家之れを四と爲す。

字通「四」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「四神」の意味・わかりやすい解説

四神【ししん】

中国,古代に信じられた4種の空想的動物。東を青竜,南を朱鳥(朱雀(すざく)),西は白虎,北を玄武(亀と蛇(へび)の合体)に当て,おのおの春夏秋冬に配し,また星宿に配当する。図様は竜,鳳凰(ほうおう),虎,亀に蛇が巻きついたもので示す。この思想は戦国時代に認められるが,漢代になって,諸種の工芸品に多く描かれるようになった。楽浪郡遺跡の古墳壁画,日本では奈良高松塚古墳壁画,薬師寺本尊の台座に見られる。
→関連項目家相

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「四神」の解説

四神
しじん

四禽(しきん)・四獣とも。中国の戦国時代に成立した天の四方を守る霊神で,「礼記(らいき)」にみえる。東方は青竜(せいりゅう),西方は白虎(びゃっこ),南方は朱雀(すざく),北方は玄武(げんぶ)。また春夏秋冬の四季に配する場合もある。「続日本紀」和銅元年(708)2月15日条によると,平城京遷都は「四禽図(と)(陰陽図緯)に叶い,三山鎮(しずめ)を作(な)」す地を選んで都としており,平安京造営時にも東に流水,西に大道,南に窪地,北に丘陵をもつ四神相応の地相が求められた。

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とっさの日本語便利帳 「四神」の解説

四神(四獣)

天の四方を司る神。▽青龍(せいりゅう。東)、白虎(びゃっこ。西)、朱雀(すざく。南)、玄武(げんぶ。北)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四神」の意味・わかりやすい解説

四神
ししん
Si-shen

中国でその形を動物になぞらえて名づけた四方の星宿。東を青竜,南を朱雀,西を白虎,北を玄武という。

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世界大百科事典(旧版)内の四神の言及

【カメ(亀)】より

…近世になり亀の価値が,このようにほとんど逆転することについてはいくつかの説明があるが,その基礎にあるのは次のような観念の変質であろう。すなわち四霊の後をうける四神のうち,北方に位置する玄武が亀と蛇とがからみ合った形で描かれていて,その背後には冬の季節に世界の復活をもたらす宇宙的な聖婚が行われるという観念が存在したことをうかがわせるが,その聖婚の性的な意味が俗化して淫奔と受けとられるようになった。これが亀に対する価値観の転換をもたらしたと考えられるのである。…

【二十八宿】より

… 二十八宿は7宿ずつ東西南北の4方角に分類され,また色および動物に対応させられた。曾侯乙墓出土の考古学的証拠によってもわかるように,すでに前5世紀に東方青(または蒼)竜,西方白虎の対応がみられたが,漢代の画像石などには東方青竜,北方玄武,西方白虎,南方朱雀の四神図を描いた多数の例がみられる。これは二十八宿と結びつけることによって宇宙誌的な意味を表現したものである。…

【旗】より

…旗は《礼記》典礼にみられるように,五行思想を反映した五色旗によって各方面軍の標識とされた。赤は南(前),黒は北(後),青は東(左),白は西(右),それぞれ天・地・風・雲を象徴として鳥・亀・竜・虎の四神がかたどられ,黄は中央軍で招揺(北斗の杓端)が描かれた。各方面軍は,方面旗の指示に従って行動する。…

【竜】より

甲骨文の竜の字に特徴的なのは,その頭上にアンテナのような飾りを戴くことで,これがのちには尺木と呼ばれる竜の角となるもので,竜は尺木があるので天に升(のぼ)れるのだとされる。《礼記(らいき)》では,竜は鳳,麟,とともに四霊の一つとされ(鳳凰(ほうおう),麒麟(きりん)),漢代に成立した四神の観念の中では,東方に位置づけられて青竜と呼ばれる。四神の観念の成立にともなって竜の図像も多数出現するようになるが,そこでの竜は立派なたてがみと足とを持ち,馬との類似性が大きい。…

※「四神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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