売春防止法第5条(勧誘等)の罪を犯し、同第17条の規定により補導処分に付された20歳以上の女子を収容して、これを更生させるために必要な補導を行う法務省管轄下の矯正施設。1958年(昭和33)4月、婦人補導院法に基づいて、東京都八王子市、大阪府堺(さかい)市、福岡市の3か所に設置されたが、収容人員の減少に伴って、1971年に大阪婦人補導院、1975年には福岡婦人補導院が業務を停止し、1985年に両院とも廃止された。2019年(平成31)時点では同年4月に東京都昭島市の国際法務総合センター内に移転した東京婦人補導院だけが業務を行っている。収容期限は6か月。規律ある生活のもとで、売春による生活を断念させ正業につけるよう、生活指導および職業補導を行い、あわせて更生の妨げとなる心身の障害に対する医療を行う。婦人補導院の被収容者は、貧困の犠牲者が多かったが、2010年以降新たに収容された者は4名のみであり、2019年(令和1)10月の時点の被収容者はゼロである。
[須々木主一・小西暁和 2020年3月18日]
売春防止法5条の定める公然売春勧誘等の罪を犯した成人女子で,懲役または禁錮の執行を猶予されかつ6ヵ月の補導処分に付された者を収容して,更生に必要な生活指導,職業補導,心身障害に対する医療を行うための国(法務省)の施設。1958年に婦人補導院法に基づき東京,大阪,福岡に設置されたが,収容人員の減少に伴い現在は東京のみで20名程度を収容して業務を行っている。自由就業による資金獲得(婦人補導院法5条),外部の学校,病院,婦人団体,事業所等への通勤(14条),臨時外出(9条),飲食の自弁(6条)が認められるなど更生のための施設という性質上開放的な施設ではあるが,保護観察付き執行猶予とは異なり強制的な収容を前提とするから,保護具の使用(15条),逃亡時の連戻し(16条),懲戒(11条),面会・通信の制限(8条)など規律維持の措置が認められている。
執筆者:田中 利幸
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