子ども会(読み)こどもかい

改訂新版 世界大百科事典 「子ども会」の意味・わかりやすい解説

子ども会 (こどもかい)

健全な娯楽や遊び,レクリエーション,スポーツ,文化活動,学習,創作,社会奉仕などの自主的集団活動をとおして,子どもの地域生活の充実と豊かな成長発達を保障するために,父母・住民によって育成された異年齢の地域子ども組織。〈少年団〉と類似しているが,組織の対象,目的,内容,形態,育成主体の諸点においてより多様性をもち,地域網羅的性格に特色をもつ。子ども会の原形は,古くは村落共同体子供組子供衆などの慣習的な子ども集団の中にみることができる。明治末期から大正時代にかけて,資本主義経済の発展にともなう地域社会の変化と学校の校外指導の強化により慣習的な子ども集団は衰退するが,宗教団体による日曜学校普及ボーイ・スカウトピオネールなど目的的な少年団体,組織が紹介される中で,子ども会に対する教育・文化面での意義が自覚された。しかし,軍国主義台頭とともに,1932年文部省訓令〈児童生徒ニ対スル校外生活指導ニ関スル件〉によって小学校を単位とする学校少年団づくりが促進されたため,自由で多様な子ども会の性格は失われ,41年には大日本青少年団へと一元的に統合された。

 戦後焼け跡の子どもたちを守り育てる運動の中でふたたび多様な子ども会が復活し,アメリカ占領軍による指導者講習会を通じてグループ・ワーク理論やレクリエーション技術が紹介され一段と活発化した。しかしその後,特に1960年代からの高度経済成長政策にともなう地域社会の変貌と受験競争の激化の中で,地域の子ども集団や子ども会が急激に衰弱形骸化してきたが,70年代に入ると新しい地域連帯形成のとりくみの中で,子どもの成長・発達にとっての子ども会の意義が問い直され,地域に根ざしたすぐれた実践もあらわれるようになった。

 子ども会の形態や活動内容は実に多様で,育成者の面から見ると,(1)町内会や地区自治会によって育成される〈町内子ども会〉〈地区子ども会〉,(2)PTA校外生活指導部などによる〈PTA子ども会〉や学校が校外生活指導の目的で通学区ごとに組織する〈校区子ども会〉,(3)教育委員会や行政機関が夏休みなどに行う〈緑陰子ども会〉,(4)児童館や図書館が企画する〈巡回子ども会〉や〈行事子ども会〉,(5)部落解放運動による〈部落子ども会〉,(6)その他児童文化・教育・宗教団体が組織する子ども会などがある。また目的面からみると,(1)不良化防止,児童保護をめざすもの,(2)社会教育,校外教育の一環として子どもの成長・発達をめざすもの,(3)健全な娯楽と文化を与えて健全育成をめざすもの,(4)特定の団体の宣伝を意図するものなどがある。組織の対象は小学生が中心であり,中学生はジュニア・リーダーとして位置づけられることが多い。従来子ども会といいながらも育成者であるおとなの都合でひきまわし,子どもの自主性が生かされない場合が多くみられた。真に子どもたちを主人公にした継続的な子ども会運営が求められている。
少年団
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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