子・児(読み)こ

精選版 日本国語大辞典の解説

こ【子・児】

[1] 〘名〙
① 両親の間に生まれた人。人間の男女の間にできた人。⇔
※書紀(720)神代下(寛文版訓)「吾(あ)か高天原所御(たかまのはらにきこしめす)斎庭(ゆには)の穂を以て亦吾か児(コ)に当御(まかせまつ)る」
※万葉(8C後)五・八〇三「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝古(コ)にしかめやも」
② 獣、鳥、魚、昆虫など動物の雌雄の間に生まれたもの。卵生の鳥や魚などの場合には、卵そのもの、あるいは卵から孵化したものをいう。
※古事記(712)下・歌謡「汝が御子や 遂に知らむと 雁は古(コ)産らし」
③ 実子のほか、養子、継子などの総称。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「一生に一人ある子なり、かたち身の才人にすぐれたり」
※民法(明治二九年)(1896)八七七条「子は其家に在る父の親権に服す」
④ 年少のもの。幼稚な人。わらべ。
※義経記(室町中か)二「これほどいつくしき子具し奉りたる事、これぞはじめなる」
⑤ 人を親しんでいう語。男にも女にもいい、多く、地名などに続けて用いて、愛称の意を添える。
※古事記(712)中・歌謡「みつみつし 久米の古(コ)が 頭椎(くぶつつ)い 石椎いもち 撃ちてし止まむ みつみつし 久米の古(コ)らが」
⑥ 男から愛する女性をさしていう語。
※古事記(712)中・歌謡「眉画き 濃に画き垂れ 逢はしし女(をみな) かもがと 我が見し古(コ)ら かくもがと 吾が見し古(コ)に」
⑦ 娘。若い女性を、年長者がいう。主に近世以降の用法。
※咄本・新板臍の宿かへ(19C中)二「あの町で奉子する子は、どんな気じゃしらん」
⑧ 芸娼妓。抱え主、または客がいう。
※洒落本・寸南破良意(1775)年季者「ハテノウどの子にしやう、久さん大年増は」
⑨ (「━の子」の形で) そういうことをする運命をもって生まれてきた者、すっかりそのものや状態にひたりきっている者の意にいう。
※紫(1901)〈与謝野鉄幹〉清狂「われ男の子意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子ああもだえの子」
⑩ 草木の幹から分かれて、別に生え出たもの。
※古事記(712)下・歌謡「八田の 一本菅は 古(コ)持たず 立ちか荒れなむ」
⑪ あるものを元として、それより生ずるものをいう。⇔。→このしろ(利)
※書紀(720)持統五年三月(寛文版訓)「貸倍(かりもののコ)
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「金が子(コ)を産(うん)で家賃が流込む」
⑫ 中心になるようなおもだったものに対して、それに従属するもの。大小相対するもののうちの小さな方。「子会社」「子分」など。⇔
※日葡辞書(1603‐04)「Co(コ)。例、イカリ ノ co(コ)〈訳〉木碇の端に横ざまに付けた石で、碇がまっすぐ水底に沈むようにするためのもの」
⑬ 親船に対し、これに付属する小船をいう。
※雑俳・柳多留‐三一(1805)「みなとへつくと親舟は子をおろし」
⑭ 格子を組み立てている桟、あるいは、梯子の横木をいう。→格(こ)
⑮ なますに交ぜる魚介類や、汁に入れる実などをいう。
※山谷詩集鈔(1647)一九「此笋を入麺のこにせよと云て」
※浮世草子・好色一代女(1686)三「下風膾(おろしなます)の子(コ)もなくあへて」
⑯ キリスト教で、天の父なる神に対しキリストをいう。
※引照新約全書(1880)約翰伝福音書「子を信ずる者は窮(かぎり)なき生命をえ」
⑰ 物や道具の名に付けて愛称の意を添える。また、言いぐせ。
※八丈実記(1848‐55)方言「すべて器物にはわんのこ、おけのことこをつけて呼なり」
[2] 〘接尾〙
① 名詞や動詞の連用形に付けて、それ、また、それをする人の意を表わす。「舟子」「売子」「狩子」など。
② 特に、女性のする動作や仕事に付けて、それが若い娘であることを表わす。「守子」「縫子」「お針子」「踊子」など。
③ 人を表わす語に付けて愛称、親愛の意を添える。「背子」「娘子」など。
④ 男女の名の下に付けて用いる。主として、上代の用法で、身分のある人に用いることが多い。「中臣鎌子」「小野妹子」「蘇我馬子」など。
⑤ 女性の名に付けて、それが女であることを表わす。「花子」「珠子」「美知子」など。
※竹取(9C末‐10C初)「内侍、中臣のふさこにの給ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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