(読み)リ

デジタル大辞泉 「利」の意味・読み・例文・類語

り【利】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]きく とし
学習漢字]4年
刃が鋭い。よく切れる。「利器利剣鋭利
頭の回転がはやい。さとい。かしこい。「利口利根利発
通りをよくする。「利水利尿
物事が都合よく運ぶ。好都合であること。「利害利己利点利便利用功利私利勝利水利党利不利福利便利有利
うまく事を運んで得たもの。もうけ。「利益りえき利子利潤利率営利元利巨利金利実利純利戦利低利薄利複利暴利
梵語の音訳字。「舎利刹利せつり
[名のり]かが・かず・さと・と・とおる・のり・まさ・みち・みのる・よし・より
[難読]足利あしかが利鎌とがま

り【利】

利益。もうけ。「の薄い商い」「漁夫の
利子。利息。「を生む」
有利なこと。好都合であること。「地のに恵まれる」
勝ち目。勝利。「戦いあらず」
[類語](1利益儲け収益利潤利得利沢黒字得分実益益金利金純利純益差益利鞘マージンゲインプロフィット/(2金利利子利息単利複利年利月利日歩

と【利/鋭/疾】

形容詞「と(利)し」の語幹から》するどいこと。すばやいこと。多く「利鎌とかま」「利心とごころ」など、複合語の形で用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「利」の意味・読み・例文・類語

り【利】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 利益。もうけ。とく。精神的なものにも物質的、金銭的なものにもいう。
    1. [初出の実例]「我、彼の馬の為に善を修せむ。汝に於ても利有なむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
    2. 「我か損は商人の利也」(出典:太平記(14C後)三五)
    3. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  3. 利息。利子。
    1. [初出の実例]「凡公私以財物出挙者。任依私契。官不理。〈略〉毎六十日利」(出典:令義解(718)雑)
    2. 「Riuo(リヲ) クワスル〈訳〉貸す金に高利をつける」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. [その他の文献]〔褚遂良‐請廃在官諸司捉銭表〕
  4. いくさなどで、有利であること。優勢であること。また、勝つこと。勝利。
    1. [初出の実例]「平家は三千余騎、御方の御勢は一万余騎。遙の利に候」(出典:芸大本平家(13C前)九)
    2. [その他の文献]〔史記‐項羽本紀〕
  5. ( 形動 ) 都合がよいこと。便利であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「軍に三の謀候べし。所謂天の時、地の利(リ)、人の和にて候」(出典:太平記(14C後)三四)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  6. はたらき。効用。〔易経‐繋辞下〕
  7. ( 形動 ) 刃物などのよく切れること。また、人などがするどくてかしこいさま。鋭利。
    1. [初出の実例]「然に鈍(どん)なるものは財と色とを愛し、利なる物は名と見とに著(じゃく)す」(出典:米沢本沙石集(1283)一〇本)
    2. [その他の文献]〔韓非子‐難一〕

と【利・疾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「とし(利)」または「とし(疾)」の語幹から ) するどいこと。また、しっかりした心。多く、するどい、すばやい、しっかりしたなどの意で、「とめ(利目)」「とかま(利鎌)」「とごころ(利心)」のように熟して用いる。
    1. [初出の実例]「衾路(ふすまぢ)引出の山に妹を置きて山路念ふに生ける刀(ト)もなし」(出典:万葉集(8C後)二・二一五)

こ‐の‐しろ【利】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「子の代」の意 ) 貸した金の利子。利息。
    1. [初出の実例]「若し既に身を役(つか)へらば、利(コノシロ)に役(つか)ふこと得ざれ」(出典:日本書紀(720)持統元年七月(北野本訓))
    2. [その他の文献]〔模範新語通語大辞典(1919)〕

かが【利】

  1. 〘 名詞 〙 利益。利得。
    1. [初出の実例]「若し国家に利(カカ)あらしめ百姓を寛にする術(みち)有らば」(出典:日本書紀(720)天武九年一一月(北野本訓))

きかし【利】

  1. 〘 名詞 〙 囲碁で、先手で打った石が相手応手に比べて働きがあること。また、その石を打つこと。

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普及版 字通 「利」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(異体字)
8画

[字音]
[字訓] するどい・りえき・きく

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[その他]

[字形] 会意
禾(か)+刀。禾を刈る意。〔説文〕四下に「銛(するど)きなり。刀に從ふ。和して然る後利あり。和の省に從ふ」とするが、和は軍門和(こうわ)の意で、その禾は軍門の象。利は刀を以て禾穀を刈るので鋭利の意があり、収穫を得るので利得の意がある。金文字形犂鋤(りじよ)の形で(り)に作り、それが初形。鋭利の義よりして、刀に従う字となった。本来は釐・(り)などと同じく、治める意の字である。

[訓義]
1. するどい、すばやい、よい。
2. かなう、なめらか、とおる。
3. さいわい、とみ、もうけ、むさぼる、利益。
4. はたらき、いきおい、かつ、まさる。
5. 国語で、きく。

[古辞書の訓]
名義抄〕利 トシ・トクス・シルシ

[声系]
〔説文〕に利声として梨を収め、また声として八字を収める。声の字は、みな禾黍(かしよ)を犂(す)く意に従う。

[語系]
利lietはliと声義近く、犂鋤しておさめることをいう。すべて(り)声の字に、釐治の意がある。

[熟語]
利運・利鋭・利益・利舸・利械・利害・利・利器・利跂・利機・利義・利金・利剣・利権・利己・利口・利交・利巧・利根・利索・利子利市・利矢・利屐・利觜・利資・利時・利辞・利日・利準・利潤利殖・利人・利刃・利水・利勢・利舌・利銭・利・利爽・利足・利息・利鏃・利沢・利達・利地利通・利途・利刀・利導・利得・利鈍・利敗・利薄・利吩・利兵・利病・利弊・利便・利民・利門・利用・利養・利欲・利慾・利禄
[下接語]
愛利・遺利・栄利・営利・鋭利・利・貨利・我利・快利・獲利・完利・奇利・去利・巨利・享利・経利・兼利・堅利・権利・賈利・公利・功利・交利・好利・厚利・倖利・高利・興利・国利・細利・犀利・財利・市利・私利・自利・失利・実利・射利・受利・重利・勝利・剰利・水利・征利・争利・多利・大利・貪利・地利・調利・薄利・美利・不利・福利・複利・便利・暴利・末利・冥利・名利・有利・余利・用利・伶利・廉利・禄利

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【利子】より

…経済学において利子の概念は伝統的に経済の生産過程から生み出される所得の分配と関連している。大まかにいって,資本主義経済における生産にかかわる主体として,(1)労働者,(2)土地や一部の機械設備,さらには特殊な専門知識,情報などを提供する主体,(3)資金を提供する主体,そして(4)企業の最終的所有者の四つに区分できよう。…

※「利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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