安家洞(読み)アッカドウ

デジタル大辞泉 「安家洞」の意味・読み・例文・類語

あっか‐どう【安家洞】

岩手県岩泉町にある鍾乳洞竜泉洞の北、約20キロ。総延長は23.7キロで国内最長。入り口一つ多くの支洞があり、主洞の一部は公開されている。国の天然記念物

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改訂新版 世界大百科事典 「安家洞」の意味・わかりやすい解説

安家洞 (あっかどう)

岩手県北東部,下閉伊(しもへい)郡岩泉町安家元村にある大規模な鍾乳洞。北上高地の岩泉町から久慈市にかけて,安家石灰岩分布地帯が走り,国内でも有数の鍾乳洞地域である。安家洞は,1961年に日本ケービング協会によって調査がおこなわれた。北東に向かって狭い洞口を開き,洞内はきわめて複雑で分岐と合一を何度も繰り返し,主洞の長さ約2300m,支洞の数は約40,総延長は8000m(2006年現在2万3700m)を超え,調査された洞の延長では日本一である。ジュラ紀安家石灰岩中に発達し,長さのわりには概して狭く,幅5~10m,高さ5m以下の部分が多い。洞内の一部に小規模な水流小池があり,石灰岩を溶解した地下水が滴下しながら鍾乳石になる状態や,下に積もった石筍(せきじゆん)が石柱に成長していく過程を見ることができる。洞内断面の大きさ,一つ一つの鍾乳石・石筍の規模では秋芳洞(あきよしどう)に及ばないが,数十万年経過しているといわれる鍾乳石,石筍,石柱,フローストン(鍾乳壁),幕状に垂れ下がったカーテン,千枚皿(畔石(あぜいし))も数ヵ所で発達するなど,変化に富んだ造形美が繊細華麗に展開する様子は,他の洞窟に見られないものがある。1975年に天然記念物に指定されたが,まだ全部は探査しつくされていない。岩泉からバスが通じているが,観光施設は不十分で,一般公開は入口付近の約0.5kmに限られている。近くに桃の木洞,氷渡(しがわたり)洞などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安家洞」の意味・わかりやすい解説

安家洞
あっかどう

岩手県北東部、下閉伊(しもへい)郡岩泉町安家にある鍾乳洞(しょうにゅうどう)。総延長23.7キロメートルを超える。国の天然記念物。ジュラ紀安家石灰岩中に発達し、主洞の長さ約2300メートル、洞は複雑で迷路が多い。石灰岩層の走行に沿って、西または南に50~60度に傾き、地下水が石灰岩を溶解して鍾乳石になる状態や、石筍(せきじゅん)が伸びて1本の石柱になる状態がみられる。地質学的には2億数千万年経過していると推定され、鍾乳石、石筍、石柱、フローストン、カーテン(石灰幕)など千変万化の形で展開し、リムストン(畔石(あぜいし))も数か所で認められる。南の秋吉(あきよし)台(山口県)に対して北の安家洞ともいえる洞窟(どうくつ)センターである。

[川本忠平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安家洞」の意味・わかりやすい解説

安家洞
あっかどう

岩手県北東部,岩泉町北部の安家地区にある鍾乳洞。主洞の長さ約 2300m,支洞の数は約 40,洞の最大幅 17m,天井の最高約 25m。岩泉町から久慈市へかけて横たわる長さが約 50km,幅が約 4kmの古生代ペルム紀の大石灰岩塊のほぼ中央にあたり,石灰岩層の走行に沿って西または南に 50°~60°傾いた縦長の洞穴をなす。洞内には無数の鍾乳石,石筍,石柱,千枚皿などがあり,鍾乳石の最大のものは 6mにも達する。温度は 8℃。公開されているのは入口から約 380mまでの部分。1975年国の天然記念物に指定。南にウサギコウモリ,トビムシなどの珍しい動物が生息する龍泉洞がある。

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百科事典マイペディア 「安家洞」の意味・わかりやすい解説

安家洞【あっかどう】

岩手県岩泉町安家にある鍾乳洞(しょうにゅうどう)。ジュラ紀の安家石灰岩中に発達し,総延長は8kmをこえる。ほぼ水平に,北北西〜南南東に主洞が伸び,支洞数40,洞幅最大70m,天井最高25m,みごとな鍾乳石,石筍(せきじゅん)がある。1961年の学術探検で全容が明らかとなった。
→関連項目岩泉[町]鍾乳洞竜泉洞

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