龍泉洞(読み)りゅうせんどう

日本歴史地名大系 「龍泉洞」の解説

龍泉洞
りゆうせんどう

[現在地名]岩泉町岩泉 龍泉洞

岩泉地区の北部、石灰岩の大絶壁をみせて立つ宇霊羅うれら(六二五メートル)の東麓に開口する鍾乳洞。初め湧窟洞とよばれた。「邦内郷村志」には「岩泉洞窟」とみえ、享保一四年(一七二九)阿部友之進なる者が薬草および薬石を求めて洞中に入り鍾乳石若干を採り去ったとの記事を載せる。調査済みの分だけでも二五〇〇メートルにも及び、洞内には清冽な水が湧き壮大な地底湖(最深一二〇メートル)をつくる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「龍泉洞」の意味・わかりやすい解説

龍泉洞
りゅうせんどう

岩手県北東部、下閉伊(しもへい)郡岩泉町(いわいずみちょう)の宇霊羅山(うれいらさん)東麓(とうろく)にある鍾乳洞(しょうにゅうどう)。「岩泉湧窟及びコウモリ」として国指定天然記念物。洞内の奥行約2500メートル。内部には大小無数の鍾乳石、石筍(せきじゅん)があり、洞内を流れる清流は透明度41.5メートルで全国一といわれる。川、滝、淵(ふち)をつくり、神秘的な景観を呈している。1967年(昭和42)近くに龍泉新洞が発見され、洞内に考古、地質生物などの資料を展示した自然洞穴科学館が設けられた。

[金野靜一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「龍泉洞」の意味・わかりやすい解説

龍泉洞
りゅうせんどう

岩手県北東部,小本川中流部にある鍾乳洞。岩泉町に属する。 1937年命名,翌年「岩泉湧窟およびコウモリ」として天然記念物に指定された。龍河洞 (高知県) ,秋芳洞 (山口県) とともに日本三大鍾乳洞の1つとして有名。延長は 1700~5000mと推定され,鍾乳石,石柱,石筍など大規模な石灰岩の溶食地形が発達している。洞内にはトビムシ,ゴミムシ類の微細な動物が生息し,支洞に生息するウサギコウモリなど5種は天然記念物。洞内から湧出する清水は町内の水道の水源となっている。毎年5月には清水川祭がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android