秋芳洞(読み)アキヨシドウ

デジタル大辞泉 「秋芳洞」の意味・読み・例文・類語

あきよし‐どう【秋芳洞】

山口県西部、秋吉台あきよしだいの地下100メートルに広がる鍾乳洞しょうにゅうどう特別天然記念物指定されている。古くは「滝穴」とよばれていた。しゅうほうどう。

しゅうほう‐どう〔シウハウ‐〕【秋芳洞】

あきよしどう

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精選版 日本国語大辞典 「秋芳洞」の意味・読み・例文・類語

あきよし‐どう【秋芳洞】

  1. 山口県美祢(みね)郡秋芳(しゅうほう)町にある大鍾乳洞。しゅうほうどう。滝穴。

しゅうほう‐どうシウハウ‥【秋芳洞】

  1. あきよしどう(秋芳洞)

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日本歴史地名大系 「秋芳洞」の解説

秋芳洞
あきよしどう

秋芳町広谷ひろたににある六〇メートルの絶壁に開口する大石灰洞。洞口に滝がかかっているため、古来より当地では滝穴たきあなとよばれてきた。大正一四年(一九二五)皇太子(現天皇)によって秋芳洞と命名された。「しゅうほうどう」ともいう。洞口の高さ二六メートル、幅一四メートルで、主洞(一・五キロ)と支洞(三〇〇メートル)からなる。主洞には百枚皿・洞内富士・黄金柱などと命名された石筍や鍾乳石群などがすばらしい景観を展開する。特別天然記念物。

「注進案」は滝穴について次のように述べる。

<資料は省略されています>

入洞の早い例は、寛政一一年(一七九九)秋吉村(現秋芳町)自住じじゆう寺の住持自然が藩へ提出した自住寺由来書に「文和三年甲午夏、天下大に旱し、和尚万民の患を悲しみ、身命を諸天善神に抛ち、当境広谷洞に入り雨を乞ふ」とあり、文和三年(一三五四)同寺の寿円が雨乞祈願のため入洞したという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋芳洞」の意味・わかりやすい解説

秋芳洞(あきよしどう)
あきよしどう

山口県西部、美祢(みね)市秋芳町(しゅうほうちょう)秋吉にあり、石灰岩台地として知られる秋吉台の南麓(なんろく)に開口する鍾乳(しょうにゅう)洞。特別天然記念物。かつて滝穴(たきあな)とよばれていたが、1926年(大正15)皇太子訪問のおりに、「秋芳洞」と命名された。「しゅうほうどう」ともいう。

 黒谷支洞のほかはほとんど支洞のない規模の大きい水平洞で、洞口の高さ24メートル、幅8メートル、水量の多い地下河川をもつ湧水(ゆうすい)洞で、広谷の谷底平野を流れる稲川の水源をなす。探検されている琴ヶ淵(ことがふち)までは約2キロメートル、その奥は水中洞となり、秋吉台北東麓の白魚(はくぎょ)洞までつながり、全長は推定10キロメートルに及ぶ。見学コースは洞口から約1.5キロメートルの間に照明や探勝路が整備され、洞奥の人工トンネルやエレベーターで台上に出られる。洞内は「千畳敷」付近がもっとも広く、最大幅80メートル、高さは30メートルもある。洞窟(どうくつ)生成物もよく発達し変化に富んでいて、石灰華段丘の「百枚皿」、巨大な石灰華柱の「黄金柱(こがねばしら)」や「洞内富士」、流華石の「土筆(つくし)石」や「くらげの滝のぼり」、特異な形の石筍(せきじゅん)の「巌窟王(がんくつおう)」などみるべきものが多い。洞穴内にはキクガシラコウモリなどのほか、退色したり、目が退化した好洞生物が生息する。なお、秋芳洞をつくりだした地下水系は「秋吉台地下水系」として2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。東海道・山陽新幹線新山口駅などからバスが通じる。

[三浦 肇]



秋芳洞(しゅうほうどう)
しゅうほうどう

秋芳洞

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改訂新版 世界大百科事典 「秋芳洞」の意味・わかりやすい解説

秋芳洞 (あきよしどう)

〈しゅうほうどう〉とも呼ぶ。山口県美祢(みね)市の旧秋芳(しゆうほう)町にあり,秋吉台の南麓に開口する日本最大級の鍾乳洞。1952年特別天然記念物に指定された。洞は支洞の少ない水平洞で,全長は推定10kmであるが,洞奥約2kmの琴ヶ淵までが調査されており,その先は水中洞となっている。洞内を地下河川が流れ,秋吉台北東麓の吸込穴白魚洞まで連なっている。一般公開されているのは照明設備のある約1.5kmの間で,洞内は最も長い所で200m,最も天井の高い所で40mあり,地下水に溶存している炭酸石灰分が沈澱して,さまざまの石灰華生成物が発達している。天井から垂れ下がる〈傘づくし〉などの鍾乳石,洞壁をかざる〈土筆石〉〈南瓜岩〉〈くらげの滝のぼり〉などの流華石,洞床から上へのびる〈マリア観音〉〈巌窟王〉などの石筍(せきじゆん),天井から洞床までつながった高さ約15mの〈黄金柱〉,〈洞内富士〉などの巨大な石灰華柱,棚田のような〈千町田〉〈百枚皿〉などの石灰華段丘,いずれも地底の造化の美が繰り広げられている。秋吉台には秋芳洞のほかにも大小200以上もの洞窟があり,太陽光線が届かず一年中17℃と気温変化のない洞内には,褪色したり眼のないクモ類,ヨコエビ類,トビムシ類,ゴミムシ類など珍奇な生物がすみ,重要な学術研究地となっている。小郡(おごおり),湯田温泉(山口市)からのバスの便がよく,洞内から秋吉台上へ通じるエレベーターが設置されるなど観光施設が整っているため,四季を通じて多くの観光客が訪れている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秋芳洞」の意味・わかりやすい解説

秋芳洞
あきよしどう

通称「しゅうほうどう」。山口県中西部,秋吉台南端にある大規模な鍾乳洞。秋吉台観光の中心。主洞は全長約 1.5kmまで探勝できるが,その延長は約 10kmに及ぶと推定される。洞の断面は最高 30m,最大幅は 90m。洞内には川,滝,淵があり,洞穴面に石灰華段丘鍾乳石石筍,石灰柱などが発達。珍しい洞窟動物も生息する。洞口から黒谷支洞へ抜ける主洞の約 1.5kmは,百枚皿,傘づくし,黄金柱など奇観が多い。エレベータや照明施設がある。 1922年天然記念物,52年特別天然記念物に指定。もと滝穴といわれたが,1925年皇太子 (昭和天皇) の命名により秋芳洞と改められた。秋吉台国定公園に属する。

秋芳洞
しゅうほうどう

秋芳洞」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「秋芳洞」の意味・わかりやすい解説

秋芳洞【あきよしどう】

山口県美祢(みね)郡秋芳(しゅうほう)町(現・美祢市)にある鍾乳(しょうにゅう)洞(特別天然記念物)。〈しゅうほうどう〉とも。秋吉台国定公園に属し,洞口は秋吉台の南麓にある。幹洞は北に延び,照明施設やエレベーターがあって約1.6km奥まで探勝できる。洞内は幅が平均60m,高さ30mで,鍾乳石,石筍(せきじゅん),石柱がよく発達し,百枚皿,千畳敷,黄金柱など数々の奇勝をつくる。2005年11月に秋吉台地下水系がラムサール条約登録湿地となる。山口市,美祢市などからバスがある。
→関連項目秋芳[町]鍾乳洞

秋芳洞【しゅうほうどう】

秋芳(あきよし)洞

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事典・日本の観光資源 「秋芳洞」の解説

秋芳洞

(山口県美祢郡秋芳町)
日本三大鍾乳洞」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の秋芳洞の言及

【秋芳洞】より

…天井から垂れ下がる〈傘づくし〉などの鍾乳石,洞壁をかざる〈土筆石〉〈南瓜岩〉〈くらげの滝のぼり〉などの流華石,洞床から上へのびる〈マリア観音〉〈巌窟王〉などの石筍(せきじゆん),天井から洞床までつながった高さ約15mの〈黄金柱〉,〈洞内富士〉などの巨大な石灰華柱,棚田のような〈千町田〉〈百枚皿〉などの石灰華段丘,いずれも地底の造化の美が繰り広げられている。秋吉台には秋芳洞のほかにも大小200以上もの洞窟があり,太陽光線が届かず一年中17℃と気温変化のない洞内には,褪色したり眼のないクモ類,ヨコエビ類,トビムシ類,ゴミムシ類など珍奇な生物がすみ,重要な学術研究地となっている。小郡(おごおり),湯田温泉(山口市)からのバスの便がよく,洞内から秋吉台上へ通じるエレベーターが設置されるなど観光施設が整っているため,四季を通じて多くの観光客が訪れている。…

※「秋芳洞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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