安達 潮花(1代目)
アダチ チョウカ
大正・昭和期の花道家 安達式挿花創流者・初代家元。
- 生年
- 明治20(1887)年12月10日
- 没年
- 昭和44(1969)年6月5日
- 出生地
- 広島県安浦町
- 本名
- 安達 良雄(アダチ ヨシオ)
- 学歴〔年〕
- 早稲田大学政経学部中退
- 主な受賞名〔年〕
- 勲五等瑞宝章
- 経歴
- 幼児から池坊のいけ花を学び、明治41年大学中退後、京都六角堂池坊七夕会に出瓶して認められた。池坊から東京に派遣されたが、東京池坊派となじまず、大正4年第1回創流展を芝の紅葉館で開き、安達式飾花法家元を名乗って独立。飾花を標榜し、花型を洋裁同様のデサイン居敷で型紙化するなど新機軸を打ち出した。13年東京青山に安達式挿花芸術学院を創立、いけ花のスクールシステムに先鞭をつけた。1年で免許状がとれるという時代に即した速成法で門下を拡大生産し、いけ花の近代化と大衆化を図った。戦後は草月流に押され、2代目は長男安達良昌が継承したが、後継を望んでいた二女瞳子は父から離脱、昭和48年花芸安達流を創始した。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
安達潮花
あだちちょうか
(1887―1969)
いけ花流派、安達式挿花の創始者で家元。広島県の寺に生まれ、幼少からいけ花を学び、18歳のころ、すでにその花技と才能が京都六角堂池坊の家元にも認められるほど頭角を表したが、当時因習と伝統に縛られていた池坊いけ花に飽き足らず、新しい時代の要求にこたえるため、安達式飾花(しょくか)(盛花(せいか))をくふうし、1917年(大正6)に一流を創始した。洋花の装飾性をも生かしたその花型は大いに受け、花型の規格や教授法の合理化と相まって、大正期のいけ花界に目覚ましい発展を示した。第二次世界大戦後は前衛いけ花を嫌い、正調いけ花運動を提唱したが、昔日の力は示されずに終わった。安達式挿花はその後潮花の娘、曈子(とうこ)(1936―2006)の花芸安達流に引き継がれた。
[北條明直]
『安達曈子著『花芸への道』(1982・講談社)』▽『安達曈子著『花芸365日』(1994・小学館)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
安達潮花
あだちちょうか
[生]1887.12.11. 広島
[没]1969.6.5. 東京
生け花作家。安達式挿花初代。名は良雄。池坊を学んでいたが東京に出て 1912年に「安達式挿花」を創流,17年5月に第1回展を催して注目され発展した。最初は花型を否定しのちに重視する。花型に立華の流儀の名残りがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
安達潮花 あだち-ちょうか
1887-1969 大正-昭和時代の華道家。
明治20年12月11日生まれ。安達曈子の父。池坊(いけのぼう)の生け花をおさめ,大正6年安達式挿花(そうか)を創始し,初代家元となる。生け花の大衆化につとめた。昭和12年安達式挿花芸術学院を設立。昭和44年6月5日死去。81歳。広島県出身。早大中退。本名は良雄。
出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例
安達 潮花 (あだち ちょうか)
生年月日:1887年12月10日
大正時代;昭和時代の華道家
1969年没
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の安達潮花の言及
【池坊】より
…池坊もしばらく沈滞していたが,古い伝統をもつため他流より早く復活し,明治のいけばな界に再び支配的地位を保つようになった。しかし池坊から離れて自由な創造をめざすものも多くなり,吉村華芸(かうん)の池坊竜生派,小原雲心の小原流などが成立,大正期にはいると安達潮花の安達式など斬新な作風の作家たちが独立し,創流をするようになった。第2次大戦後の池坊は近代の盛花や投入だけでなく,現代いけばなの研究にも力をそそぎ海外への進出もはかるようになった。…
【いけばな】より
…盛花ははじめは自然主義的なものであったものが,やがて洋花を使った色彩豊かな盛花が考案されるようになってから,洋風なテーブルの上に置くことのできるいけばなとして,大正年間にかけて非常に流行した。安達潮花はこれを当初飾花(かざりばな)とも呼んだが,当時のブルジョア層の応接間という新しい室内空間に機能するものとして発展していった。こうした新しい形式の盛花の出現に刺激されて,西川一草亭に代表される文人花の長所に注目し,形よりも理念を先行させたいけばなを目ざして山根翠堂たちによる自由花の運動がはじめられた。…
※「安達潮花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」