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宗教学 しゅうきょうがくscience of religion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宗教学
しゅうきょうがく
science of religion

人類に一般的な宗教現象を客観的,科学的,歴史的立場と方法によって帰納的に考究する学問宗教史宗教心理学宗教社会学宗教民族学などを含むが,宗教の本質を原理的に解明しようとする宗教哲学,特定の宗派弁証を行う護教学,教理学,教派史などとは異なる。 F.M.ミュラー創始にかかるとされている。

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デジタル大辞泉の解説

しゅうきょう‐がく〔シユウケウ‐〕【宗教学】

宗教現象を客観的に研究し、宗教一般の本質や構造に迫ることを目的とする学問。ヨーロッパでは19世紀、日本では20世紀になって本格的な研究が始まった。宗教心理学・宗教社会学・宗教民族学・宗教史・宗教哲学などの分野がある。

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百科事典マイペディアの解説

宗教学【しゅうきょうがく】

宗教に関する客観的・実証的な学問の総称。ドイツ語でReligionswissenschaft。近代的個別科学の常として,成立は19世紀後半以降で,宗教心理学,宗教社会学,比較宗教学,宗教史学,宗教人類学などの分科をもち,特定宗教の護教的立場からなされる神学・教学や,宗教の本質や規範性を対象とする宗教哲学からは区別されることが多い。
→関連項目ミュラー

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうきょうがく【宗教学 Religionswissenschaft[ドイツ]】

広く宗教一般の現象,機能,歴史,本質などについて客観的・実証的に研究する学問。個別宗教の研究は,仏教学,キリスト教学,イスラム学,道教学,神道学などに分かれるが,宗教学はこれらの個別宗教に関する研究成果を素材としつつ,そこに共通する普遍的な特性の究明一般理論の構築を目的としている。 宗教に関する学問は,古く,神の存在・非存在,悟りの実現の有無など実証や検証が不可能な問題を形而上学的に論ずるところから出発した。

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大辞林 第三版の解説

しゅうきょうがく【宗教学】

神学的・護教的・哲学的立場などを離れて、経験科学の立場から宗教現象を客観的に研究する学問。狭義には比較宗教学・宗教現象学・宗教民族学(宗教人類学)・宗教社会学・宗教心理学をいい、いずれも1870年代に始まる。広義にはこれらに宗教史・宗教哲学を加え、さらに神学をも加えて、宗教学の総称とすることもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宗教学
しゅうきょうがく
history of religions英語
Religionswissenschaftドイツ語
science religieuseフランス語

宗教現象を客観的、批判的に研究し、特定の宗教でなく、宗教一般の本質を明らかにすることを究極の目的とする学問の総称。客観的というのは、特定の信仰を前提として、その護持を図ることを目的としないということであり、批判的とは、攻撃的ということではなく、宗教の根拠、本質を資料と論理によって把握するということである。宗教哲学もこれに含まれるが、宗教学をとくに実証的研究を行うものに限る場合もある。[柳川啓一]

起源

宗教学の起源についてはさまざまに説かれている。宗教に対する批判的分析という点で、ギリシアの哲学者に求め、あるいは、ヘロドトスのように、異国の宗教習俗について深い関心をもった者をあげる。また、理性の限界を超えて形而上(けいじじょう)的思索を行うことを避け、批判哲学を完成したカントが、宗教哲学の祖となっていることもあわせて、宗教学的立場の意義と立場を初めて明らかにしたとするものもあるが、普通には、宗教学の訳語の基であるscience of religionを初めて使ったマックス・ミュラーが宗教学の開祖であるとする。彼は古代インド宗教の学者であるとともに、古代の宗教、神話について比較研究を行い、1873年に『宗教学概論』を出版した。しかし英語ではscience of religionは使われなくなり、宗教学にあたる語はhistory of religionsあるいはcomparative religionが用いられている。[柳川啓一]

展開

宗教哲学を除き、その後の宗教学の傾向は二つの流れに分かれる。一つは、マックス・ミュラー、ティーレ、ゼーデルプロムら、古代宗教の文献学的研究を土台としながら諸宗教の比較を行うものである。初め比較宗教学とよばれたこの学問は、いまは宗教現象学とよばれている。哲学における現象学とは直接の関係がなく、宗教的観念、制度の類型学となっていた。一方、聖書の文献学者ロバートソン・スミスが未開人の人類学的・社会学的研究を使って『セム族の宗教』(1889)を書いたように、「人間の科学」の一分野として宗教学をみる立場があった。
 タイラー、フレーザーの文化人類学的研究、デュルケーム、マックス・ウェーバーの社会学的研究、ウィリアム・ジェームズ、フロイト、ユングの心理学的研究などから、宗教民族学、宗教社会学、宗教心理学が生まれた。これらの学者は宗教理論の形成に大きな業績をもたらしたが、彼らは社会学者、人類学者、心理学者であって、宗教学の側からの積極的取り組みがなかったため、宗教学は他の学問と交合する領域だけで盛んで、宗教学独自の領域での活動は停滞したうらみがあった。こういった情勢のとき、ファン・デル・レーウ、エリアーデなどが宗教現象学の立場から宗教学独自の分野を開こうとし、とくに象徴研究に力を注いだギアツ、宗教社会学のベラ、宗教人類学(民族学)のターナーらの研究も象徴分析に新境地を開いた。レビ・ストロース、リーチの構造主義もこれと関係するところが多い。1960年代になって人類学、社会学、心理学においても宗教研究の関心が強くなっている。
 日本では、1905年(明治38)東京帝国大学に宗教学講座が設けられたように、比較的古い歴史をもっている。姉崎正治(あねざきまさはる)をはじめとする宗教学の開拓者たちは、多く仏教に関係する者の出身であり、ヨーロッパの宗教学が暗々のうちにキリスト教を最上の地位に置くのに対して、仏教の、あるいは東洋・日本の宗教の独自性を、比較のうえで明らかにしたいという目標をもっていた。日本は、神道(しんとう)、仏教、キリスト教、新宗教が併存していて研究対象にも恵まれており、欧米の宗教学がなお脱することのむずかしいキリスト教的見解からも自由であるので、世界の宗教学における発展が期待されている。[柳川啓一]
『岸本英夫著『宗教学』(1963・大明堂) ▽ロラン・ロバートソン著、田丸徳善監訳『宗教社会学』(1984・川島書店) ▽上田閑照・柳川啓一編『宗教学のすすめ』(1985・筑摩書房)』

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世界大百科事典内の宗教学の言及

【社会科学】より

…経営学,行政学,教育学などは,それぞれ企業,官庁,教育組織という特定領域の問題を専攻する領域学で,学問分野としては経済学や政治学や社会学や心理学に還元される(経営経済学,経営社会学,経営心理学等々)。宗教学や言語学や芸術学などは,社会学,心理学に還元される部分(宗教社会学,宗教心理学等々)以外は,人文学に属するものと考えておきたい。最後に歴史学は,人文学と社会科学にまたがる広大な学問で,社会科学に属する部門は経済史,政治史,社会史,法制史などとして,それぞれの個別社会科学の歴史部門を構成する。…

※「宗教学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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