定家仮名遣い(読み)テイカカナヅカイ

デジタル大辞泉 「定家仮名遣い」の意味・読み・例文・類語

ていか‐かなづかい〔‐かなづかひ〕【定家仮名遣い】

鎌倉時代藤原定家が平安後期文献もとに定めた同音仮名使い分け定家の作と伝えられる「下官集げかんしゅう」の「嫌文字集」の条に「い」「ひ」「ゐ」、「え」「へ」「ゑ」、「お」「を」を区別している。そのうち「お」「を」は当時のアクセントの違いに基づく使い分けと推定される。のちに行阿が「仮名文字遣」で「は」「わ」、「ほ」「う」「ふ」「む」を増補して5類14文字の違いを示し、江戸中期まで和歌を作る場合に用いられた。

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百科事典マイペディア 「定家仮名遣い」の意味・わかりやすい解説

定家仮名遣い【ていかかなづかい】

藤原定家の《下官集》や,行阿(ぎょうあ)の《仮名文字遣》によって示された仮名遣い。平安中・後期の文献などにより,〈い〉〈ひ〉〈ゐ〉,〈え〉〈ゑ〉〈へ〉,〈を〉〈お〉,〈は〉〈わ〉,〈ふ〉〈う〉等の使い分けを示したもので,〈を〉〈お〉については,アクセントの高低によって定めた。定家の権威により,歌壇を中心として正しい仮名遣いとして守られたが,江戸時代に入って契沖がこの仮名遣いが《万葉集》に合致していないことを指摘万葉など古代用法に従うべきだとした。
→関連項目仮名遣い歴史的仮名遣い和字正濫鈔

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定家仮名遣い」の意味・わかりやすい解説

定家仮名遣い
ていかかなづかい

藤原定家によって始められた、区別すべき仮名の正しい使い分けの方法。具体的には、いろは歌四十七文字基準として、古文献やアクセントによって仮名の使い分けの規則を定めたものである。江戸時代になって契沖(けいちゅう)による「歴史的仮名遣い」が提唱されるまで、長く平仮名の使い分けの原理として用いられた。

[近藤泰弘]

『大野晋著『仮名遣と上代語』(1982・岩波書店)』

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