定考(読み)コウジョウ

デジタル大辞泉 「定考」の意味・読み・例文・類語

こう‐じょう〔カウヂヤウ〕【考】

《「定考」と書いて「こうじょう」と転倒して読むのが慣例。「上皇」と音の通じるのを避けるためという》平安時代朝廷で毎年8月11日に、六位以下の官吏勤務成績によって加階昇任を定めたこと。また、その儀式

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精選版 日本国語大辞典 「定考」の意味・読み・例文・類語

じょう‐こうヂャウカウ【定考】

  1. 〘 名詞 〙 平安時代、朝廷で毎年八月一一日、官人の行状、勤務状態を考えて勤務成績を査定し上申する儀式。→こうじょう(定考)
    1. [初出の実例]「今日無殊忌之内定考也、仍所参入也」(出典:左経記‐寛仁元年(1017)八月一一日)

定考の補助注記

「定」「考」の順を逆にして「こうじょう」と読むのを故実とするが、「左経記」の例は便宜的にここにあげた。「上皇」と音が似ているので順読を避けるという。「壒嚢鈔‐五」に「定考(かうちゃう)の事〈略〉此人々を選ひ出し、定め侍るを、定考と申也。但文字には、定考と書たれ共、打返して、かうちゃうと読み付り。是又口伝にて侍る也。尤故ある事となん」とある。


こう‐じょうカウヂャウ【定考・考定】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「上皇(じょうこう)」と音の通じるのを避けるため、「定考」と書いて転倒して読むのを慣例とする ) 平安時代、朝廷で毎年八月一一日に、前年八月以降一年分の太政官長上官の勤務成績を考査して上申する儀式。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「太政官二月十一日列見。八月十一日定考日懸幔」(出典:延喜式(927)三〇)

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改訂新版 世界大百科事典 「定考」の意味・わかりやすい解説

定考 (こうじょう)

令制太政官の官人の位階授与の手続の一つ。〈上皇(じようこう)〉の音読に通ずるのを避けて,転倒して読むのを例とし,ひいては〈考定〉とも書いた。8月11日を式日とし,前年8月1日以降1年間の太政官の長上官(常勤者)の勤務成績を考査上申する儀。《儀式》《延喜式》の制によると,8月1日担当の少納言,弁,外記,史が太政官の考選文を作成し,11日に大臣に上申する。すなわち当日大臣以下が太政官庁に参着,少納言以下が参入して,考(勤務評定)にあずかるべき者と,考にあずからざる者の累計,その内訳として,考の列にあらざる者(大臣),第(9等の評定)を定めざる者(五位以上),中の上等第の人数および各人の上日(出勤日数)などを読みあげる。この考選文は10月1日式部省に下されるが,その951年(天暦5)の実例が《政事要略》に収められている。また定考の翌日,太政官の番上官(当番勤務)の勤務成績を考査上申する儀があり,これを〈小定考(ここうじよう)〉といった。定考は2月11日列見(れつけん)とともに,官中の二大行事とされ,その際の饗饌と禄物は太政官厨家が弁備したが,平安末期には,近江国細江保が列見定考料所に充てられた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定考」の意味・わかりやすい解説

定考
こうじょう

太政官(だいじょうかん)で官吏の執務成績を定める儀。定考と書いて「こうじょう」と逆に読む。式日は8月11日であるが、まず8月1日に三局(左・右弁官局、少納言(しょうなごん)局)でそれぞれ考文(こうもん)の案をつくり、ついで11日に長上(ちょうじょう)の官人の考を定める。定の儀は、少納言が当年の考に預る者、預らない者、考第(こうだい)が中上以上の者の人数を読みあげ、考を定め、終わって宴、音楽がある。翌12日には番上(ばんじょう)の考を定める小定考(ここうじょう)がある。

[渡辺直彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定考」の意味・わかりやすい解説

定考
こうじょう

字を転倒して読むのが普通。平安時代の官吏任用の一形式。六位以下の官吏の加階,昇任を決めること,またはその儀式で,太政官が勤務成績と面接で決めた。儀式は毎年8月 18日に行われた。

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普及版 字通 「定考」の読み・字形・画数・意味

【定考】ていこう

勤務評定。

字通「定」の項目を見る

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