列見(読み)レッケン

デジタル大辞泉 「列見」の意味・読み・例文・類語

れっ‐けん【列見】

主に平安時代朝廷における年中行事の一。2月11日に、式部省兵部省が選んだ六位以下の器量ある官人を昇叙するため、それらの人を太政官に列立させ、大臣もしくは上卿しょうけいが引見する式。

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精選版 日本国語大辞典 「列見」の意味・読み・例文・類語

れっ‐けん【列見】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「れけん」とも )
  2. 人をならばせて、容姿服装などを点検すること。
  3. 令制で、官人の位階昇進の手続きとなる儀式の一つ。長上または番上の官で、勤務状態の評価によって六位以下に叙する候補者となった者を、その官職に従って、太政官または式部兵部の二省にならばせ、それぞれ大臣・省の卿が引見・点呼し、評価の当否を検すること。毎年二月一一日を定例日とする。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「式兵二省預前作考文、史生等注選人名、以授省掌、告諸司、前一日二省録応列見状申太政官及弁官」(出典貞観儀式(872)九)
    2. 「列見や其の家さくら初桜〈師心〉」(出典:俳諧・発句類聚(1807)春)

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改訂新版 世界大百科事典 「列見」の意味・わかりやすい解説

列見 (れっけん)

〈れけん〉ともいう。日本古代の令制下級官人の位階授与の手続の一つ。毎年2月11日を式日とする。令制諸司官人の六位以下に叙すべきものは,それぞれ本司において1年間(8月1日より翌年7月末日まで)の勤務成績を考査し,式部省または兵部省に考文を提出する。式・兵二省は諸司の考文を検査して叙位すべきものを選定し,2月11日,その主典以上の成選人を太政官に召集して,大臣以下公卿が見閲する。これを列見という。《儀式》《延喜式》の制によると,当日弁官の南門内に座を設け,式・兵二省の輔が成選人を率いて参入する。大臣は成選人の技能容儀を点検し,擬階の適否を査定する。その後,4月7日の擬階奏を経て,各人に位記が授与され,一連の手続は完了する。列見は8月11日の定考(こうじよう)と並んで官中の二大行事とされ,その儀の饗饌と禄物は太政官厨家が弁備したが,平安末期には,近江国細江保が列見定考料所に充てられて料物を調進した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「列見」の意味・わかりやすい解説

列見
れっけん

「れけん」ともいう。奈良~平安時代,毎年2月 11日宮廷で六位以下の下級官人中,昇進候補者を太政官において実見し選抜に資することをさした。一般的には祭使の行列の査閲などをもこう呼んだ。

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世界大百科事典(旧版)内の列見の言及

【列見】より

…式・兵二省は諸司の考文を検査して叙位すべきものを選定し,2月11日,その主典以上の成選人を太政官に召集して,大臣以下公卿が見閲する。これを列見という。《儀式》《延喜式》の制によると,当日弁官の南門内に座を設け,式・兵二省の輔が成選人を率いて参入する。…

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