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実語教 じつごきょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

実語教
じつごきょう

平安時代末期から江戸時代にかけて刊行,流布した児童教訓書 (往来物の一種) 。作者未詳。経伝などのなかから格言を五言絶句 48連に抄録し,寺子屋などの教科書として使用された。「山高故不貴 (山高きが故に貴からず) 」に始り,生きるうえでの知恵,学問,道徳などについての教えを説き,「是学問之始,身終勿忘失 (これ学問の始め,身終るまで忘失するなかれ) 」で終っている。特に江戸時代に盛んに刊行されたが,明治以降近代日本の初等教育においても,この内容の多くが倫理規範として採用され,後世に影響を与えた。

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デジタル大辞泉の解説

じつごきょう〔ジツゴケウ〕【実語教】

平安時代の教訓書。1巻。著者・成立年とも未詳であるが、俗に、空海の著といわれる。経書の中の格言を抄録し、たやすく朗読できるようにしてあり、江戸時代には寺子屋などで児童用教科書として使用された。

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世界大百科事典 第2版の解説

じつごきょう【実語教】

鎌倉初期から明治初期まで広く用いられた教訓書。選者は,弘法大師,護命僧正等の説があるが不明。平安末期ごろの選作と推定される。仏教思想を主とし,仏教および儒教の教典から文を選び,漢詩流の五言96句に構成したもので,児童の暗誦に適した文体。〈山高故不貴 以有樹為貴 人肥故不貴 以有智為貴〉ではじまり,智を財物に対する不朽の宝とし,智を獲得するために幼時から書を読み学に勤めることを説く。この智および学は,今日いうところの知識・学問とは異なり,儒仏それぞれに存する人間倫理の学である。

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大辞林 第三版の解説

じつごきょう【実語教】

児童用の教訓書。一冊。空海著と伝えるが未詳。成立年未詳。「経書」の中から格言を抄出してまとめたもの。平安末期から行われたが、江戸時代になって寺子屋などで大いに用いられ、絵入り本や類書が多数刊行された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

実語教
じつごきょう

平安末期から明治初期まで広く用いられた初歩教科書。作者は未詳。平安末期ごろの作と推定されている。幼童にも朗読しやすいよう漢詩流の五言対句の体裁をとる。人間の本質なり価値を「知」に置き、その無限的価値を強調し、「知」の体得のためには幼童からの読書勉励と、道徳的実践とが必要であることを力説している。中世にもかなり普及していたが、近世に入り『童子教』などと合体の形で出版され、寺子屋などの道徳教科書として広く流布した。また『新実語教』などの類書も輩出し、後世の道徳教育や教科書編纂(へんさん)に多大の影響を与えた。[利根啓三郎]
『石川謙・石川松太郎著『日本教科書大系5 教訓』(1969・講談社)』

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