小説家。高知市に生まれる。1941年(昭和16)高坂高等女学校に入学。1943年結婚、満州(中国東北地方)へ渡る。1946年引き揚げ、保育所勤務のかたわら小説を書く。1962年(昭和37)『連(れん)』で『婦人公論』女流新人賞を受賞、20年の結婚生活を清算。翌年再婚を機に上京。『櫂(かい)』(1972)で太宰治(だざいおさむ)賞を、『寒椿(かんつばき)』(1976)で女流文学賞を、『一絃(いちげん)の琴』(1978)で直木賞を、『序の舞』(1980)で吉川(よしかわ)英治文学賞をそれぞれ受ける。ほかに『陽暉楼(ようきろう)』(1976。直木賞候補)、『天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ)』(1984)、自伝小説『朱夏(しゅか)』(1985)、『春燈』(1988)、『松風の家』(1989。文芸春秋読者賞)、『きのね』(1990)、『蔵』(1993)、『クレオパトラ』(1996)、『天涯の花』(1998)、『櫂』『朱夏』『春燈』に続く自伝小説『仁淀川(によどがわ)』(2000)など。また『手とぼしの記』(1984)、『女のこよみ』(1987)、『記憶の断片』(1996)、『はずれの記』(1998)、『めぐる季節を生きて』(2002)などのエッセイ集もある。代表作の多くは、土佐高知の遊興の世界で成長した作者の体験・見聞からモチーフを得ている。とくに父や苦界でひたむきに生きる女性など、緊密な構成、練達の文章によって、鮮烈な人間像を掘り起こした。
[岡 宣子・橋詰静子]
『『連』(1962・中央公論社)』▽『『宮尾登美子全集』全15巻(1992~1993・朝日新聞社)』▽『『記憶の断片』(1996・飛鳥新社)』▽『河野多恵子ほか監修『女性作家シリーズ13 宮尾登美子他』(1998・角川書店)』▽『『一絃の琴』新装版(2000・講談社)』▽『『仁淀川』(2000・新潮社)』▽『『めぐる季節を生きて』(2002・講談社)』▽『『櫂』『寒椿』『蔵』(中公文庫)』▽『『序の舞』『クレオパトラ』『手とぼしの記』(朝日文庫)』▽『『きのね』(朝日文芸文庫)』▽『『朱夏』『天涯の花』(集英社文庫)』▽『『春燈』『記憶の断片 お針道具』『記憶の断片 成城のとんかつやさん』(新潮文庫)』▽『『陽暉楼』『松風の家』(文春文庫)』▽『『はずれの記』『女のこよみ』(角川文庫)』▽『『天璋院篤姫』(講談社文庫)』
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