小説家。本名正仁(まさひと)。兵庫県に生まれる。1970年(昭和45)追手門学院大学文学部卒業。『泥の河』(1977)で第13回太宰治(だざいおさむ)賞を受け認められた。同年『螢川』で芥川(あくたがわ)賞を受賞し、清新な作風が注目された。続いて『幻の光』(1979)を発表。繊細な叙情性により人生の機微を謳(うた)い上げ地位を確立する。ほかに『道頓堀川(どうとんぼりがわ)』(1981)、『青が散る』(1982)、『錦繍(きんしゅう)』(1982)、『流転(るてん)の海』第1~3部(1984、1992、1996)、『春の夢』(1984)、『ドナウの旅人』(1985)などの作品に続いて『優駿』(1986。吉川英治文学賞受賞)、『五千回の生死』(1987)、『愉楽の園』(1989)、『海岸列車』(1989)、『海辺の扉』(1991)、『ここに地終わり海始まる』(1991)、『彗星(すいせい)物語』(1992)、『朝の歓(よろこ)び』(1994)、『人間の幸福』(1995)、『焚火(たきび)の終わり』(1997)、『月光の東』(1998)などがある。またエッセイ集として『二十歳(はたち)の火影(ほかげ)』(1980)、『本をつんだ小舟』(1993)などがあって、エッセイストとしても名声がある。
[金子昌夫]
『『宮本輝全集』全14巻(1992~93・新潮社)』▽『『ひとたびはポプラに臥す』全6冊(1997~2000・講談社)』▽『『月光の東』(1998・中央公論新社)』▽『『泥の河』『道頓堀川』(角川文庫)』▽『『幻の光』(新潮文庫)』▽『『優駿』(新潮文庫)』▽『『愉楽の園』(文春文庫)』▽『『海辺の扉』(角川文庫)』▽『『海岸列車』(文春文庫)』▽『『ここに地終り海始まる』(講談社文庫)』▽『『彗星物語』(角川文庫)』▽『『朝の歓び』(講談社文庫)』▽『『焚火の終わり』(集英社文庫)』▽『二瓶浩明編『宮本輝書誌』(1992・和泉書院)』▽『酒井英行著『宮本輝論』(1998・翰林書房)』
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