中世,とくにその前半期に特徴的に行われた違法な裁判行為の一つ。訴因をもつものがみずから当事者となることなく,訴を第三者に委託し(沙汰を寄せる),委託を受けたものがこれを受託し(沙汰を請け取る),以後この訴権の実現につとめる行為をいう。沙汰を請け取ったものが寄沙汰を実行する手段によって2種に分かれる。(1)朝廷や幕府などの法廷において行われる寄沙汰。本来の訴人がその法廷での当事者能力に欠ける場合や,通常の手段では勝訴の期待をもちえない場合,その法廷での有勢者に沙汰を寄せて勝訴をかちとろうとするもの。〈不知行所領の寄附〉とか〈面(おもて)を替える〉と呼ばれたものがこれに当たる。種々の裁判権力が並立し,また政治と裁判が未分化の当時にあっては,つねにくり返される法廷戦術の一つであった。(2)法廷外で行われた寄沙汰。沙汰を請け取ったものが,本来の当事者に代わって行う自力救済の一種といえるもの。たとえば本来の債権者に代わって債務者の財産を実力で差し押さえたり,田畠の作物を刈り取ったりする行為をさす。沙汰を請け取るもの,すなわち寄沙汰実行者としては,広く社会的有勢者が選ばれたが,中でも猛威を振るったのは山僧神人らであり,彼らは対象となった財産を神物・仏物と称し,洛中洛外,山野河海を問わず強引に寄沙汰を実行した。
このような事態に対し,公武の権力は平安以来しきりに寄沙汰禁令を発布したが,寄沙汰が発生する根本的原因を除去しないかぎり,実効をあげることはできなかった。沙汰を寄せれば,本来の権益の多くの部分が沙汰を請け取る者に奪われることを知りながら,あえてそれに頼らざるをえなかった第一の原因は,公武権力のもつ裁判制度の不備,とくに債権債務をあつかう(雑務沙汰)部門の極端な弱体にあった。
執筆者:笠松 宏至
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...
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