小言幸兵衛(読み)コゴトコウベエ

デジタル大辞泉 「小言幸兵衛」の意味・読み・例文・類語

こごとこうべえ〔こごとカウベヱ〕【小言幸兵衛】

落語。世話好きだが口やかましい麻布古川家主、田中幸兵衛のある一日の話。転じて、口やかましい人をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「小言幸兵衛」の意味・読み・例文・類語

こごとこうべえこごとカウベヱ【小言幸兵衛】

  1. [ 1 ] 落語。口やかましくて世話好きすぎる家主が、家を借りに来た人々をさまざまな理由をつけて断わるおかしさをねらう。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ]から転じて ) 口やかましい人をいう。
    1. [初出の実例]「また『小言幸兵衛』が始まった」(出典:今年竹(1919‐27)〈里見弴〉あやめの客)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小言幸兵衛」の意味・わかりやすい解説

小言幸兵衛
こごとこうべえ

落語。麻布(あざぶ)古川(ふるかわ)に住む家主(いえぬし)の田中幸兵衛は世話好きだが小言が多く、人よんで「小言幸兵衛」。空き家の借り手にいろいろと難癖をつけて断る。搗米(つきごめ)屋、豆腐屋、仕立屋と頼みにくるのを断るやりとりが咄(はなし)の中心をなす。最後にきた男の乱暴な口調にびっくり、「ご商売は?」「鉄砲鍛冶(かじ)だ」「道理でぽんぽんいう」とサゲる。江戸時代から継承する古い咄で、江戸の庶民生活の一端を描写する部分は、風俗資料としての価値がある。搗米屋とのやりとりを主に演じる場合は『搗屋幸兵衛』といい、5代目古今亭志ん生(ここんていしんしょう)はこの題で演じた。搗屋の話は湿っぽいので、今日『小言幸兵衛』というと、はでな仕立屋のくだりを主に演ずるのが普通。幸兵衛が、年ごろの仕立屋の息子と近所の古着屋の娘が恋し合って心中するはずだと理不尽なことを言い立て、芝居仕立ての道行(みちゆき)の場面へと発展してゆくという発想のおもしろさがあり、そのため『道行幸兵衛』の別名もある。

[関山和夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「小言幸兵衛」の意味・わかりやすい解説

小言幸兵衛 (こごとこうべえ)

落語。家主幸兵衛は口やかましく,家を借りに来た者の口のききかたが悪いと貸さない。礼儀正しい仕立屋が来たが,若い美男の息子がいると聞き,近所の娘と心中になると取越し苦労をして追い帰す。乱暴な男が来てまくし立てるので,商売を聞くと鉄砲鍛冶だという。〈道理でポンポン言い通しだ〉。ぶっつけ落ち。この前に米つき屋が借りに来てことわられる《搗屋(つきや)幸兵衛》とよぶ部分もある。また上方では《借家借り》という。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小言幸兵衛」の解説

小言幸兵衛 こごと-こうべえ

同名の落語の主人公
江戸麻布古川にすむ家主(いえぬし)田中幸兵衛は朝から晩まで口やかましく小言をいう。家をかりにくる搗米(つきごめ)屋,豆腐(とうふ)屋,仕立屋などにいろいろと難癖をつけて追いかえしてしまう。

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デジタル大辞泉プラス 「小言幸兵衛」の解説

小言幸兵衛(こごとこうべえ)

古典落語演目ひとつ。「搗屋(つきや)幸兵衛」「道行幸兵衛」とも。上方では「借家借り」と題する。六代目三遊亭圓生が得意とした。オチは考えオチ。主な登場人物は、大家。

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