岩出(市)(読み)いわで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩出(市)」の意味・わかりやすい解説

岩出(市)
いわで

和歌山県北西部にある市。1908年(明治41)町制施行。1956年(昭和31)山崎、根来(ねごろ)、上岩出の3村および小倉村の一部と合併。2006年(平成18)市制施行。中世には石手(いわで)と記されるが、1726年(享保11)から岩出と定めた。和泉(いずみ)山脈南麓(なんろく)から紀の川に注ぐ住吉(すみよし)川などの小支流が形成した複合扇状地の上にある。JR和歌山線がここで紀の川を渡り、国道24号が通じる。京奈和自動車道の岩出根来インターチェンジがある。中心の岩出地区は旧伊勢(いせ)(大和(やまと))街道の渡津(としん)で、藩の伝馬所(てんまじょ)が置かれ、また宮(みや)と六箇(ろっか)の堰(せき)がつくられた所で、現在は岩出頭首工(とうしゅこう)(岩出統合井堰)がある。花卉(かき)・野菜類の栽培が盛ん。近年では住宅地化が進み、1960年以降人口が増加している。和泉山麓を古代の南海道が通り、西国分塔跡(国指定史跡)や式内社荒田神社がある。北部山麓の新義真言宗総本山の根来寺は中世覚鑁上人(かくばんしょうにん)の開基で、一帯はその荘園(しょうえん)であった。国宝多宝塔などがあり、庭園は国指定名勝。国指定重要文化財の増田家住宅は1706年(宝永3)建築大庄屋(おおじょうや)住宅である。面積38.51平方キロメートル、人口5万3967(2020)。

[小池洋一]

『『岩出町誌』(1976・岩出町)』


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