日本大百科全書(ニッポニカ) 「岱明」の意味・わかりやすい解説
岱明
たいめい
熊本県北部、玉名(たまな)郡にあった旧町名(岱明町(まち))。現在は玉名市の南西部を占める。1955年(昭和30)睦合(むつあい)、大野、鍋(なべ)、高道の4村が合併して岱明村が成立、1965年町制施行。岱明の町名は、町域北端を占める小岱(しょうだい)山地(中生代花崗(かこう)岩類)と南に臨む有明(ありあけ)海とによった。2005年(平成17)玉名市に合併。旧町域は低山地・台地の北半域と、低地・干拓地の南半域とからなる。この対照は、土地利用面でも、北半域のミカン、ナシ、ブドウなどの果樹、葉タバコ、酪農、南半域のキンショウメロン、トマト、イチゴなどのハウス園芸、米麦さらに地先の浅海のノリ、アサリの養殖となって現れている。この土地利用上の境界を縫うようにJR鹿児島本線が東西に走り、またその北側には国道208号(三池街道)が並走している。とくに国道の整備は、電器ほか最近の工場誘致に大きく寄与した。唯一の鉄道駅大野下(おおのしも)付近にある八幡宮(はちまんぐう)ならびに八大竜王神社に毎年奉納される「奴踊り(やっこおどり)」「雨乞い踊り(あまごいおどり)」は、勇壮な男性的な踊りとして有名。国の天然記念物の大ソテツがある。
[山口守人]