川崎大師(読み)カワサキダイシ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「川崎大師」の意味・わかりやすい解説

川崎大師
かわさきだいし

神奈川県川崎市川崎区大師町にある真言(しんごん)宗智山(ちさん)派の大本山。詳しくは金剛山金乗院平間寺(こんごうさんきんじょういんへいけんじ)と称するが、厄除弘法(やくよけこうぼう)大師、川崎大師で親しまれている。成田山新勝(しんしょう)寺、高尾山薬王院(やくおういん)とともに智山派の関東三大本山の一つ。大治(だいじ)年間(1126~1131)、平間兼豊(ひらまかねとよ)・兼乗(かねのり)父子の武士が、諸国流浪のすえ川崎の地に住み着き漁業をなりわいとしていたが、あるとき海中より1体の木像(弘法大師像)を引き揚げた。兼乗は当年42歳の厄年であったので、その像を日夜懇(ねんご)ろに供養(くよう)し、厄除けを祈願した。そのころ高野山(こうやさん)の尊賢上人(そんけんしょうにん)が諸国遊化(ゆうげ)の途上たまたま兼乗のもとに立ち寄り、尊像の霊験奇瑞(れいげんきずい)に感動し、兼乗と力をあわせて1128年(大治3)一寺を建立したのが当寺の開創で、兼乗の姓平間(ひらま)をもって平間寺(へいけんじ)と号し、本尊を厄除弘法大師と称するようになった。

 中世には兵火にかかり衰えたが、江戸初期には六郷宝幢院(ろくごうほうとういん)末寺となり、1648年(慶安1)幕府より朱印6石を寄せられた。明和(めいわ)・安永(あんえい)年間(1764~1781)隆範(りゅうはん)、隆盛(りゅうせい)らが相次いで諸堂を修造して興隆。このころ将軍徳川家斉(いえなり)の参詣(さんけい)を得て寺運栄え、広く庶民に信仰されるに至った。1805年(文化2)宝幢院を離れ、醍醐三宝院直末(じきまつ)となる。1879年(明治12)三宝院を離れ京都智積院(ちしゃくいん)直末、1898年に別格本山となり、1958年(昭和33)大本山に昇格した。1945年戦災で諸堂宇を焼失したが、戦後復興に努め、1964年に不動堂および本堂を落慶。さらに、中書院、交通安全祈祷(きとう)殿、信徒会館、大山門、八角五重塔を建立し、伽藍(がらん)の偉容を一新した。

 年中行事は、元朝大護摩供(がんちょうおおごまく)、節分会、本尊弘法大師降誕奉祝会など数多い。縁日の21日はことに参詣者が多い。寺宝に、川崎市重要歴史記念物に指定される絹本着色の毘沙門天(びしゃもんてん)像、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)像、不動明王像、愛染(あいぜん)明王像、弘法大師像などがある。また碑蹟(ひせき)に寛文(かんぶん)3年(1663)銘の道標「こうぼう大し江のみち」、寛永(かんえい)5年(1628)銘の六字名号(みょうごう)碑がある。

[野村全宏]

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改訂新版 世界大百科事典 「川崎大師」の意味・わかりやすい解説

川崎大師 (かわさきだいし)

神奈川県川崎市川崎区にある真言宗智山派の寺。正式には金剛山金乗院平間(へいげん)寺という。開山は尊賢(1143没)と伝える。本尊は弘法大師座像。江戸時代の中期以降弘法大師信仰の隆盛にともない,かつ江戸の近郊で東海道の近くにあったため,流行仏(はやりぼとけ)として江戸をはじめ,近郷近在の多くの人々の信仰をあつめた。寺領は6石。1795年(寛政7)〈武蔵国新義真言宗本末帳〉には本山は京都醍醐地蔵院と記されている。道中記や名所図会あるいは浮世絵にえがかれることも多く,その名声つとにあがり,江戸時代以降庶民の祈禱信仰の霊場として隆盛をきわめている。1945年の戦災で堂宇が焼失したが,58年本堂も再興され面目を一新した。
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デジタル大辞泉プラス 「川崎大師」の解説

川崎大師

神奈川県川崎市にある寺院、金剛山金乗院平間(へいけん)寺の通称。真言宗智山派大本山。1128年開創。本尊の空海像は「厄除弘法大師」の名で知られる。「厄除け大師」ともする。

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百科事典マイペディア 「川崎大師」の意味・わかりやすい解説

川崎大師【かわさきだいし】

平間寺(へいげんじ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川崎大師」の意味・わかりやすい解説

川崎大師
かわさきだいし

平間寺」のページをご覧ください。

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