改訂新版 世界大百科事典 「帝国石油」の意味・わかりやすい解説
帝国石油[株] (ていこくせきゆ)
天然ガス,石油の探鉱,掘削を行う鉱業会社。略称,帝石。1941年,帝国石油株式会社法に基づき,石油資源の開発を促進することを目的に,政府,民間それぞれ半額出資の資本金1億円で設立された。その前年に設立された帝国石油資源開発(株)の事業を継承し,日本の石油鉱業を整備する中核体とされた。42年には日本石油(株),日本鉱業(株),旭石油(株),中野興業(株)4社の石油鉱業部門を政府方針で吸収,その後も43年から45年にかけて,日本石油鉱業(株)など石油鉱業4社を合併して国内油田の大半を支配し,国産原油の一元的開発を行った。第2次大戦後50年に〈帝国石油株式会社法を廃止する法律〉が公布され,同社は民間会社として新発足した。その後,55年に特殊法人石油資源開発(株)が設立され,帝石の石油資源の調査・試掘部門の一部をこの新会社に分離・譲渡した。この結果,同社は事業の重点を原油から天然ガス部門に移していくことになった。日本周辺の大陸棚開発が重点的に行われ,新潟沖,太平洋岸常磐沖などのガス田をつぎつぎと開発した。海外でも,インドネシア,マレーシア,ザイール(現,コンゴ民主共和国),ナイジェリアなどの天然ガス・石油鉱区開発事業に参加。資本金196億円(2005年12月),売上高1007億円(2005年12月期)。2006年4月国際石油開発(株)と持株会社,国際石油開発帝石ホールディングスを設立した。
執筆者:田中 隆之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報