日本大百科全書(ニッポニカ) 「帯刀貞代」の意味・わかりやすい解説
帯刀貞代
たてわきさだよ
(1904―1990)
女性解放運動家、日本近代女性史研究家。明治37年6月7日、島根県飯石(いいし)郡掛合(かけや)村(現、雲南(うんなん)市)の小地主の家に生まれる。1920年(大正9)松江市高等家政女学校卒業。代用教員3年ののち上京、カフェー勤めや納豆売りをして勉強し、新人会の会員たちと知り合い、同会員の織本侃(あきら)(1900―1954)と結婚、社会運動に入る。1927年(昭和2)10月全国婦人同盟結成で書記長となり、1929年8月東京・亀戸(かめいど)で紡績女工相手の労働女塾を開設、女工教育に従事し、1930年洋モス争議を支援、1931年共産青年同盟に参加して地下活動中1932年に検挙された。1934年転向して出獄後、女性史研究に入る。1944年再検挙。第二次世界大戦後は、女性問題、女性史の文筆活動に従事し、1962年(昭和37)新日本婦人の会結成以来代表委員をつとめた。代表的著書に『日本労働婦人問題』『日本の婦人』などがある。
[犬丸義一]
『帯刀貞代著『ある遍歴の自叙伝』(1980・草土文化)』▽『『日本労働婦人問題』(1980・ドメス出版)』▽『帯刀貞代著『女性の生き方』(新日本出版社・新日本新書)』▽『『日本の婦人――婦人運動の発展をめぐって』(岩波新書)』