干宝(読み)カンポウ(英語表記)Gān Bǎo

デジタル大辞泉 「干宝」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぽう【干宝】

中国東晋歴史家。新蔡(河南省)の人。あざなは令升。博学で、晋の国史編纂へんさんにあたった。生没年未詳。多く著作があったと伝えられるが、今日に残るものは少ない。著「捜神記」など。

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精選版 日本国語大辞典 「干宝」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぽう【干宝】

  1. 中国、東晉学者。字(あざな)は令升。新蔡の人。元帝のとき著作郎となり、のち、散騎常侍に進む。著に歴史書「晉紀」二〇巻、神異小説「捜神記」二〇巻。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「干宝」の意味・わかりやすい解説

干宝 (かんぽう)
Gān Bǎo

中国,東晋時代の学者。字は令升。新蔡(河南省)の人。呉王朝に仕えた家柄であったが,宰相王導の推挽により,史官として東晋初年の朝廷に出仕し,《晋紀》を著した。また《易》や《周礼》などの古典に注を付けた。しかし干宝の名が後世に記憶されるのは,《捜神記》30巻を著したことによってである。《捜神記》は,南北朝時代を通じて数多く著された〈志怪小説〉と呼ばれる一群怪異の記録の代表作。干宝は,この書物のなかで,この世界に怪異が存在することの意味を真剣に追求しようとする。当時の玄学を弄んでいた人々とはまた違った形で,魏・晋時代の人々の精神の世界を暗示する作品である。《晋書》巻八十二に彼の伝がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「干宝」の意味・わかりやすい解説

干宝
かんぽう

生没年不詳。4世紀中ごろ、中国、東晋(とうしん)の歴史家。字(あざな)は令升(れいしょう)。新蔡(しんさい)(河南省)の人。才器を認められて著作郎となり、官は散騎常侍(さんきじょうじ)まで進んだ。推薦を受けて西晋の歴史『晋紀(しんき)』20巻を編纂(へんさん)したが現存しない。また彼は生来陰陽術数を好み、怪異を語る風潮が流行するなかで、鬼神・怪異に関する説話や見聞を集めた『捜神記(そうじんき)』20巻を著した。この書は、内容も豊富で文辞も優れ、六朝(りくちょう)志怪(しかい)小説の代表作とされ、また、後世の小説に多くの素材を提供している点でも、中国小説史上画期的な著述と評価される。

[竹田 晃]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「干宝」の意味・わかりやすい解説

干宝
かんぽう
Gan Bao

中国,六朝時代の晋の学者,文学者。新蔡 (河南省) の人。字,令升。幼少から学問を好み,その才能を認められ著作郎となった。のち王導の上疏によって史官の必要が認められると,推薦されて国史の編纂にあたり,『晋紀』 20巻を著わした。その後,散騎常侍にまでなった。陰陽術数を好み易に興味をもち,『周易注』『春秋左氏函伝義』『周官礼注』などの著作があるほか,神仙,占卜,妖怪などについての説話,伝説を集めた小説集『捜神記』を残している。

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百科事典マイペディア 「干宝」の意味・わかりやすい解説

干宝【かんぽう】

捜神記

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世界大百科事典(旧版)内の干宝の言及

【捜神記】より

…中国,東晋の歴史家の干宝(かんぽう)の著。志怪(しかい)小説の代表作。…

【中国文学】より

… 〈小説〉はもともとささいな雑記の集録であった。魏・晋以後二つの方向をとり,干宝の《捜神記》と劉義慶の《世説(せせつ)新語》とがそれぞれを代表する。前者は怪異談を集め,超自然への恐れを核とする幻想の拡大へ向かい,仏教や道教の霊験記の類と親近性がある。…

※「干宝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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