出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長野県塩尻市宗賀に所在する縄文時代中期と古墳時代から平安時代に続く大集落遺跡。1949-52年,79-81年の2回にわたる発掘調査で,東西700m,南北300mの範囲から,縄文時代中期の竪穴住居址19と,古墳時代,奈良・平安時代の竪穴59のほか,倉庫跡と推定される柱穴址3などの遺構が発見されている。それらの遺構中からは多量の遺物が発掘されているが,とくに古墳時代以降の古代の遺物には,鎌・鋤などの鉄製農具,稲・アワなどの栽培穀物の炭化物,さらに牛・馬など飼育動物の骨があり,古代農業の復元研究に貴重な資料を提供している。また遺跡の位置する場所が,松本平の南西端,木曾谷との接点にあたるということもあってか,多量の日常生活用の土器(土師器(はじき),須恵器)とともに,おそらく畿内地方から移入されたとみられる完形の緑釉水瓶(りよくゆうすいびよう)を含む施釉陶器片の出土も顕著である。そのことは平出遺跡付近が古代東山道の一つの中継拠点であったのではないかという推測を生ませた。なお平出遺跡と接する位置にある柴宮からは,長野県では唯一例の完全な銅鐸が出土していることも,上記の推測をうらづける事実である。現在,遺跡には奈良時代の竪穴住居1戸が復原されるなどの保存整備計画が進められ,出土品を収蔵・展示する平出遺跡考古博物館も一般公開されている。
執筆者:戸沢 充則
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長野県塩尻(しおじり)市平出(旧宗賀(そうが)村)を中心に営まれた原始・古代の集落遺跡。松本盆地の南端、奈良井川の扇状台地上にある。古墳時代から平安時代に及ぶ竪穴(たてあな)住居址(し)、高床倉庫址などを中心に、縄文中期の竪穴住居址や信仰に関係ある配石址を含む代表的集落址である。1949年(昭和24)村役場に調査会が置かれ、大場磐雄(いわお)を団長に4か年にわたって考古、古代史、地理、民俗各分野の総合的調査が行われた。
出土遺物では、緑釉水瓶(りょくゆうすいびょう)が平安初期の優品として知られ、また東濃産の大量の灰釉(かいゆう)陶器は、古代における経済流通の実態をよく物語っている。自然遺物では米、大麦、ソラマメなどが注目された。古墳時代の竪穴住居や高床倉庫などが復原され、出土遺物は塩尻市立平出博物館に収蔵展示されている。
第二次世界大戦後、登呂(とろ)遺跡(静岡)の調査と相前後して、多くの大学が各研究分野で参加して共同研究を行い、地方史研究のあり方を模索し、とくに考古学の面では遺跡の広がりをとらえ、その古代的復原を試み、遺跡博物館を設置して保存を図るなど、多くの画期的試みがなされた点、学史的にもつ意義は少なくない。遺跡は1952年国の史跡に指定。
[小出義治]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
長野県塩尻市宗賀にある縄文時代および古墳~平安時代の大規模な集落遺跡。1950・51年(昭和25・26)考古学に地学・建築学・民俗学など関連諸学を含めた総合調査が行われた。数多くの竪穴住居跡や掘立柱建物跡などの遺構を検出,県宝に指定された緑釉水瓶をはじめとする土器や陶器,鉄製品などが豊富に出土。藤島亥治郎の設計にもとづく復原住居は,古代竪穴住居のモデル。国史跡。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
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