年齢集団制の一形態で、年齢によってくぎられたいくつかの段階・地位を順次一つずつ移行していく制度をいう。それぞれの段階に至るにはなんらかの資格や儀礼が必要とされるのが普通であり、社会のすべての男(あるいは女)は、これらの全段階を通り抜けて初めて人間としての一生を全うしたと考えられる。たとえば、東アフリカの牧畜民マサイでは、男は少年・戦士・長老の段階を、女は少女と既婚者の段階を通過する。もし最終段階に到達する前に死亡した場合、完全な葬儀が行われなかったり、祖霊になれなかったりすることもある。ケニアの農耕民メルの場合、男は12、13歳くらいから数年間「大きな少年」の段階に入るが、「大きな少年」の段階がまた三つの階梯に分かれている。その後、割礼を経て戦士の段階に入り、結婚後、政治的中心となる長老段階に至る。最後に「すべての仕事を終えて食べるだけ」の最長老段階で終わるのである。日本では静岡県伊浜(南伊豆町)の年齢階梯が有名で、人類学者鈴木二郎によれば、17歳ぐらいで若者組に入ったのち、走り使い、使い上り、小中老、中老、頭脇(かしらわき)、親方、宿老、中宿老、大宿老、年寄衆などと非常に細かく階梯が分かれている。
[加藤 泰]
『『日本民俗文化大系8 村と村人』(1984・小学館)』
年齢を基本として編成される制度で,東アフリカの部族社会に典型的に見られる。その社会集団の成員は,いくつかの年齢段階(年齢階梯)に区切られ,段階ごとに固有の役割を集団的に分担している。ある年齢段階から次の段階への移行は,特定の周期(8~15年ごと)で実施される特別の儀礼を経て行われ,個々人の出生時からの年齢には基づかないことが多い。女子よりも男子に顕著に見られるもので,その詳細は〈年齢集団〉の項を参照されたい。
執筆者:編集部
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…年齢によって人々を序列づけ,いくつかの段階的なグループに区分する集団組織・制度のことで,厳密には年齢階梯制という。一般に男女別々に組織されるが,とくに男子に顕著であって女子では微弱である。…
※「年齢階梯制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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