納税義務者が法定納期限内に国税を完納しない場合に,その未納付税額および不納付の期間に応じて課せられる金銭的負担。付帯税の一種。納税義務の履行遅滞に伴う損害につき納税義務者の支払うべき遅延賠償と納付遅延に対する遅延利息とに相当する。延滞税は,期限内申告により納付すべき国税を法定納期限までに完納しない場合,期限後申告・修正申告・〈更正・決定〉により納付すべき税額がある場合,納税告知により納付すべき国税を法定納期後に納付する場合,あるいは予定納税もしくは源泉徴収による国税を法定納期限内に完納しない場合に,課される(国税通則法60条1項)。延滞税額は,法定納期限の翌日からその国税を完納する日(当日算入)までの期間に応じ未納付税額に年14.6%を乗じて算出する。ただし,法定納期限までの期間または法定納期限の翌日から1月を経過する日までの期間については,未納付税額に年7.3%を乗じて算出する(60条2項)。延滞税は,本税が法定納期限を経過してもなお納付されない事実の生じたときに成立すると同時に,なんら特別の確定手続を必要とせず自動的に確定し(15条3項8号),租税行政庁の納付請求がなくとも納税義務者において自主的に納付しなければならない。地方税法は,延滞税と利子税とに相当する延滞金という用語を使う(64条,72条の44,72条の45の2等)。
執筆者:木村 弘之亮
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税法には納税者の権利保護の規定が設けられているとともに、義務を果たさない納税者には納税を促進させるための直接的、間接的な強権発動の規定が設けられている。延滞税は間接的に納税を促進させるための制度であり、租税行政罰の一つである。延滞税は、納税者が国税を法定納期限までに完納しない場合に課されるもので、未納額部分につき年14.6%の割合を乗じて、法定納期限の翌日から完納の日までの滞納期間の日数に応じて計算される。ただし、期限後申告や修正申告、更正・決定などで法定納期限と具体的納期限とが異なる場合には、負担の軽減の趣旨で、具体的納期限までの期間およびその翌日から1か月間に対しては年7.3%の割合を乗じて計算される。延滞税は、その計算の基礎となる国税とあわせて納付しなければならない。なお地方税では、延滞税と同じ性格のものが延滞金とよばれている。
[林 正寿]
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