建窯(読み)ケンヨウ(その他表記)Jiàn yáo

デジタル大辞泉 「建窯」の意味・読み・例文・類語

けん‐よう〔‐エウ〕【建窯】

中国福建省建陽県にあった陶窯。宋・元代にすぐれた天目茶碗てんもくぢゃわんを産出し、建盞けんさんとよばれた。

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精選版 日本国語大辞典 「建窯」の意味・読み・例文・類語

けん‐よう‥エウ【建窯】

  1. 〘 名詞 〙 中国、福建省建陽県水吉鎮にあった陶窯。唐代の創始といわれ、最盛期は南宋時代。広義には、建盞(けんさん)(=天目茶碗)を焼造した福建省を中心とする周辺一帯の古窯を指す。

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改訂新版 世界大百科事典 「建窯」の意味・わかりやすい解説

建窯 (けんよう)
Jiàn yáo

中国,福建省建陽県水吉鎮にあった陶窯。宋代に喫茶用の茶碗天目)を量産した窯として名高い。窯址は1935年ミシガン大学のプラマーJ.M.Plumerが初めて調査し,戦後は中国の研究者による調査が再三行われている。大小の天目茶碗建盞(けんさん)を焼造した窯で,いくつかの丘が破片匣鉢(さや)で覆われているという。建盞は北宋の士大夫階級に愛用され,なかでも兎毫盞(とごうさん)は当時の詩編にも詠われている。日本には鎌倉・室町期に請来され,天目と呼ばれて珍重された。典型的な器形は口縁部に段をつけた深目の碗で,高台内を浅く削った小さな高台をもち,腰以下が厚く作られている。褐色素地に多量の鉄分を含む黒釉を厚くかけ,高台脇は露胎で土見せとなる。釉は溶けやすく,焼成時に釉中の鉄分が変化して流れ結晶斑となる場合があり,それを兎毫(禾目(のぎめ)),油滴曜変などと呼び分けている。建窯は明代,伝統的な抹茶法に変わって煎茶法が一般化したためそれに伴って廃絶したとみられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「建窯」の意味・わかりやすい解説

建窯
けんよう

中国福建(ふっけん/フーチエン)省の古窯で、とくにここで焼かれた茶碗(ちゃわん)は建盞(けんさん)とよばれて天下に名を馳(は)せた。窯址(ようし)は福建省建陽(けんよう/チエンヤン)県水吉鎮にあり、1935年にアメリカのJ・プラマーが発見した。建窯の近く、福建省建甌(けんおう)県北苑には宋(そう)朝の帝室御料茶園もあり、福建省は中国第一の茶と茶碗の産地となった。10世紀、五代の人、陶穀が著した『清異録』に閩(びん)(福建省のこと)の鷓胡斑(しゃこはん)茶碗が名高いことを記しているので、あるいは建窯の始原は五代までさかのぼると説く説もある。

[矢部良明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「建窯」の意味・わかりやすい解説

建窯
けんよう
Jian-yao

中国,福建省建陽県水吉鎮の付近にあった窯。宋代に喫茶の流行に伴って発達した陶窯で,日本では天目茶碗の生産窯として著名。唐代に 閩窯 (びんよう) の名で陶器を焼成したことが知られるが,宋代に天目茶碗を焼いてから一躍有名となった。鉄分の多い黒褐色の胎土に天目釉と呼ぶ漆黒色の釉が厚くかかっている。建窯で焼く天目茶碗を建盞 (けんさん) といい,釉調の変化によって曜変 (ようへん) 天目,油滴 (ゆてき) 天目,禾 (のぎ) 天目などに区別される。また釉色を形容して兎毫盞 (とごうさん) ,鷓鴣斑 (しゃこまだら) ,烏盞 (うさん) などと称する。日本には鎌倉・室町時代の禅僧らが将来した遺品が多数伝存し,茶器として最高の名宝とされる。

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百科事典マイペディア 「建窯」の意味・わかりやすい解説

建窯【けんよう】

中国,福建省建陽県水吉鎮にあった窯。唐時代後期から青磁を焼成したが,宋代に建盞(けんさん)と呼ばれる黒釉のかかった天目茶碗をもっぱら焼成したことで知られる。これらは鎌倉〜室町時代に留学僧によって多量に将来された。素地は鉄分を多く含有し,黒灰色を呈しているのも特色。曜変天目,油滴天目,禾目(のぎめ)天目などが有名。

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普及版 字通 「建窯」の読み・字形・画数・意味

【建窯】けんよう

徳化窯。

字通「建」の項目を見る

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