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建築法規 けんちくほうき

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

建築法規
けんちくほうき

建築に関する法律および規則。次のような法規がある。建築基準法,建設業の許可,建設工事の請負契約の規正,技術者の設置などを規定した建設業法,建築物の設計,工事監理などを行う技術者の資格を定めた建築士法,その他消防法などにも建築物に関する規定が設けられている。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

建築法規
けんちくほうき

建築物は、われわれの生活やさまざまな社会的・文化的活動のための空間を構成すると同時に、都市の環境や景観を形成する基本的な要素でもある。また、個人や社会にとって重要な資産であり、かつ、その建設や維持管理は、国や地域の経済活動のなかできわめて大きな比重を占めている。このように、国民や社会に対し多大な影響を与えている建築物という存在に対しては、さまざまなルールが法規により定められている。
 建築物に関する法規の歴史は古く、紀元前18世紀の「ハムラビ法典」や奈良時代の「大宝律令(りつりょう)」にも建築物に関する規定が含まれていた。その後、わが国では、都市部を中心に、大火の防止などを目的としてそれぞれの時代に応じた建築規制が行われてきたが、1919年(大正8)に、「都市計画法」および「市街地建築物法(現在の建築基準法の前身)」が制定され、国レベルの統一的な法制度が初めて確立された。第二次世界大戦後、1950年(昭和25)に総合的な建築法規として「建築基準法」が制定されたが、その後も社会的要請や国民のニーズに対応した関連法規の整備が進められ、現在では以下のような多様な目的をもった法規が建築物に適用されるようになっている。[五條 渉]

建築基準法

建築基準法は建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めた法律である。個々の建築物の技術的基準を定めた「単体規定」、都市計画区域内における建築物の集団としてのルールを定めた「集団規定」、その他の手続関係の規定などから構成されている。
 単体規定には、
(1)人が継続的に利用する部屋(居室)の環境や衛生(採光、換気、天井の高さ、遮音など)、階段や便所の構造などについて定めた一般構造の基準
(2)木造、鉄筋コンクリート造などの構造種別に応じて定めた構造方法の規定と、地震や風などに対する安全性を確認するための構造計算の規定からなる構造強度の基準
(3)屋根や外壁の防火措置、多数が利用する特殊建築物の耐火性能、避難設備の設置などの規定から構成される防火・避難の基準
(4)浄化槽、配管設備、エレベーターなどの設置や構造に関する設備関係の基準
(5)敷地の衛生・安全、主要な建築材料の品質確保などに関するその他の基準
がある。これらの規定の多くは、従来は、寸法や材料などを具体的に規定する、いわゆる仕様書的な基準(仕様規定)であったが、1998年(平成10)の法改正により、要求される性能を満たせば、多様な材料や構造方法などを採用することが可能となる「性能規定」が導入された(2000年6月より施行)。
 集団規定は、敷地と道路との関係、建坪率(けんぺいりつ)や容積率、高さ制限、日影規制、用途や防火の基準、良好な街づくりのための地区計画や建築協定の規定などから構成されている。
 その他の規定としては、計画建築物が法令の基準に適合していることについて、建築主事による工事着手前の「建築確認」、工事中の「中間検査」および工事が完了し使用を開始する前の「完了検査」を受けるべきこと、違反建築物に対する措置、そのほかの法令の執行に関するさまざまな手続の方法などが規定されている。1998年法改正により、建築確認や検査を、一定の要件を備えた民間の指定確認検査機関も行うことができることとなった(1999年6月より施行)。[五條 渉]

都市計画や敷地に関する法規

都市計画法は、都市計画の内容やその決定手続、都市計画事業などについて定めた法律である。都市計画の内容には、無秩序な市街化を防止するための「市街化区域・市街化調整区域」、用途地域などの「地域・地区」などがある。都市計画の内容に応じた具体的な建築の制限などについては、建築基準法の「集団規定」によって定められている。「都市再開発法」では、市街地再開発事業の実施のためのルールや手続などを、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」では、老朽木造住宅密集地区などの再開発や建替え促進対策を定めている。「土地区画整理法」では、土地区画整理事業に伴う建築物の移転や除却、事業区域内の建築制限などについて定められている。
 国土の利用や取引について総合的に定めた法規として「国土利用計画法」があり、農地や緑地の利用については「農地法」と「生産緑地法」に規定されている。そのほかの建築物の敷地に関する法規としては、宅地造成に伴う災害の防止のための基準などを定めた「宅地造成等規制法」、災害危険区域の指定などについて定めた「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」がある。[五條 渉]

建築物の設計や工事に関する法規

「建築士法」は、建築基準法の姉妹法として同時期に制定された法規であり、建築物の設計や工事監理を行う技術者である建築士の資格や業務について定めている。建築士には、「一級」「二級」「木造」の3区分があり、それぞれ、設計などの業務を行うことのできる建築物の構造、規模、階数が規定されている。建築士になるためには、試験に合格し、登録をする必要があり、また、職業として業務を実施するためには、建築士事務所の登録が必要である。
 建築工事を行う建設業者の資質の向上や、請負契約の適正化を目的とした法規として、「建設業法」がある。実施する工事の規模などに応じて、建設業者は一般建設業または特定建設業の許可を受ける必要があり、そのための技術者や経済的基盤に関する条件などが規定されている。また、紛争の処理についても規定が設けられている。その他の建築工事に関する法規としては、工事中の安全や衛生の管理のための「労働安全衛生法」、工事中の環境の保護のための「騒音規制法」、工事に伴い発生する産業廃棄物の処理や再生資源の利用について規定する「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)や「再生資源の利用の促進に関する法律」などがある。[五條 渉]

建築物の質の向上のための法規

建築物の火災予防や消防活動のためのさまざまな基準は「消防法」に、建築物の省エネルギー対策については「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に、高齢者や身障者などの利用への配慮に関しては「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」に、それぞれ規定が設けられている。「建築物の耐震改修の促進に関する法律」には、既存建築物の耐震性の向上を図るためのさまざまな措置が定められている。建築物の給水装置や浄化槽についての衛生上の基準は、それぞれ「水道法」および「浄化槽法」に基づき規定されている。[五條 渉]

建築物の取引や登記に関する法規

「宅地建物取引業法」は、宅地や建築物の取引を行う事業所に専任の宅地建物取引主任者を置くことなどを定めている。また、建築物を含む不動産の鑑定に関する資格や業務については、「不動産鑑定士法」に規定されている。不動産の登記のための手続に関連する法規としては、「土地家屋調査士法」と「司法書士法」がある。[五條 渉]

建築物の所有や利用に関する法規

専有部分と共用部分とを有する区分所有のマンションについては、「建築物の区分所有等に関する法律」が適用される。これには、マンションの所有と管理に関する事項や、所有者間の調整のための管理規約を定める手続などが規定されている。建築物の所有のために土地を借りる場合の権利や、家主と借家人との間の賃貸借関係についてのルールは、「借地借家法」に定められている。百貨店や事務所など、特定の用途と一定以上の規模を有する建築物は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」により、所定の管理技術者を置いて適正な管理を行わなければならない。[五條 渉]

住宅に関する法規

国民の住生活の水準の向上のために、住宅対策に関連するさまざまな法規が定められている。主として公共住宅の直接的な供給に関するものとしては、「公営住宅法」「独立行政法人都市再生機構法」「地方住宅供給公社法」「住宅地区改良法」などがある。また、主として良質な民間住宅の供給の促進に関するものとして、「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」「勤労者財産形成促進法」などがある。住宅の税制上のさまざまな優遇措置については、「租税特別措置法」に定められている。「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」においては、三大都市圏の住宅の供給の促進のための措置が定められている。[五條 渉]

その他の関連法規

民法には、建築物は隣地境界線から50センチメートル以上離すべきことなど、建築物に関連するさまざまな権利の調整に関するルールが規定されている。特定の用途の建築物の構造、使用方法などについて定めた法規としては、保育所、養護施設などについて定めた「児童福祉法」、養護老人ホームなどについて定めた「老人福祉法」、各種の学校について定めた「学校教育法」、病院、診療所などについて定めた「医療法」、旅館、ホテルなどについて定めた「旅館業法」、映画館、劇場などについて定めた「興行場法」、事業用の寄宿舎について定めた「労働基準法」、官公庁の施設について定めた「官公庁施設の建設等に関する法律」などがある。駐車場や自転車駐車場の設置や構造については、「駐車場法」および「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」に定められている。[五條 渉]
『日本建築学会編・刊『建築法規用教材』(2001) ▽矢吹茂郎・加藤健三著『建築学の基礎4 建築法規』(2001・共立出版)』

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