団体に結集し,統一的な職業倫理を有し,これに違反する者を懲戒する権限をその団体が持つということは,高度な知的専門性を必要とする自由業たるプロフェッションの特徴とされる。日本の弁護士もプロフェッションの一つとして明治以来団体に所属しており,この団体が弁護士会である。ただし,明治憲法下における弁護士会は,そのような性格とともに,政府による弁護士統制の機能も果たしていたとされる。第2次大戦後の改正弁護士法(1949公布)により,自治権を有し,したがって監督官庁を持たないことになっているが,この点に他の職業団体との最も顕著なちがいがある。その組織・権限は弁護士法が規定している。弁護士会は各地方裁判所の管轄区域ごとに設けられている。ただし,東京には,歴史的事情により三つの弁護士会が並存している。弁護士は必ずいずれかの弁護士会に所属しなければならない。弁護士会は,弁護士の使命および職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士事務の改善進歩を図るため,弁護士の指導・連絡および監督に関する事務を行うことを目的とする法人であって,弁護士とともに日本弁護士連合会の会員である。弁護士会は,会長・副会長等の執行機関,総会・常議員会等の議決機関のほか,懲戒委員会・綱紀委員会等の各種委員会を持つ。刑事事件の再審をめぐる活動に見られるように,弁護士の使命とされる基本的人権の擁護についての補完的役割も重要である。
執筆者:古賀 正義
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弁護士の使命および職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士事務の改善進歩を図るため、弁護士の指導、連絡および監督に関する事務を行うことを目的とする法人で、原則として地方裁判所の管轄区域ごとに設立される(弁護士法31条・32条・89条)。弁護士名簿に登録された者は当然に入会しようとする弁護士会の会員となり、登録替えを受けた場合には、これによって旧所属弁護士会を退会する(同法36条)。その法律事務所は、その弁護士の所属弁護士会の地域内に設けなければならない(同法20条)。また、弁護士会は、弁護士の職務に関する紛議につき、弁護士または当事者その他関係人の請求により調停をすることができる(同法41条)し、所属弁護士の懲戒を行う権限をも有する(同法56条)。また、同じ高等裁判所の管轄区域内の弁護士会は、共同して特定の事項を行うため、規約を定め、日本弁護士連合会の承認を受けて、弁護士会連合会を設けることができる(同法44条)。なお、日本弁護士連合会は、弁護士および弁護士会を会員とする法人である(同法45条・47条)。
なお、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」(昭和61年法律66号)の施行に伴い、外国法事務弁護士は、わが国の弁護士に準じて規律されることになり、各地の弁護士会および日本弁護士連合会に入会し、その指導・監督に服することとなった。
[内田武吉]
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