出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
書道の流派の一つ。後京極殿(のちのきょうごくどの)とよばれた藤原良経(よしつね)(1169―1206)を祖とする。良経は、関白・九条兼実(かねざね)の子で、自らも関白・太政(だいじょう)大臣に上り、歌人としても重きをなした。その書は、祖父藤原忠通(ただみち)が法性寺(ほっしょうじ)流を生んだ能書であり、父兼実も法性寺流の名手であったのを受け継ぎ、流祖となるほどの技量を示した。遺墨は少なく、書状(東京国立博物館ほか)や『般若(はんにゃ)理趣経』(仁和寺(にんなじ))を残すだけであるが、狭長な字形で粘り強いその書風は、貴族階級ばかりではなく僧侶(そうりょ)や武家からも愛好された。鎌倉初期から中期にかけて一世を風靡(ふうび)し、藤原定家(ていか)の子為家(ためいえ)や、幕府の執権(しっけん)北条時宗(ときむね)などが、この流に連なる。また後京極流の古筆切(こひつぎれ)も多い。
[久保木彰一]
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…家集に《秋篠月清(あきしのげつせい)集》があり,《千載集》以下の勅撰集に313首入集。また,書にもすぐれた才能を発揮し,〈後京極流〉の始祖となる。〈般若理趣経〉(仁和寺)や,数通の書状類のほか,〈佐竹本三十六歌仙切〉〈紫式部日記絵巻詞書〉〈豆色紙〉〈和漢朗詠集切〉などの筆跡を残した。…
※「後京極流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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