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紫式部日記絵巻 むらさきしきぶにっきえまき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

紫式部日記絵巻
むらさきしきぶにっきえまき

紫式部の『紫式部日記』の絵画化作品。 13世紀前半作,紙本着色。4巻が五島美術館藤田美術館その他に分蔵。このほか残欠2図がある。絵 24段,詞 24段 (うち1段は模写) が現存するが,当初はその2倍半ぐらいの絵と詞が絵巻 10巻ほどに仕立てられていたと思われる。『源氏物語絵巻』の系統をひき,各画面は大小ほぼ一定の紙幅に収められ,吹抜屋台による屋内描写,引目鉤鼻の顔貌表現,作り絵の彩色法などによって描かれている。一方,機知的な画面構成や人物像,鋭い線描やはなやかな色感などは,鎌倉時代初頭の宮廷文化復興期における新感覚を示している。宮廷絵師の工房制作によるものと考えられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

むらさきしきぶにっきえまき【紫式部日記絵巻】

紫式部日記》のほぼ全文をこまかく絵画化し,詞書を添えた絵巻で,鎌倉初期,13世紀前半ころの制作と考えられる。当初は大規模な構成であったと推察されるが,現在はおよそ日記の順に,蜂須賀家本,藤田美術館本,旧森川家本(現,五島美術館ほか),日野原家本と,4巻が分かれて(合計24図)遺る。物語絵巻として前代の徳川・五島本《源氏物語絵巻》の系統をひく濃彩作絵(つくりえ)の技法によりながら,引目鉤鼻(ひきめかぎはな)の顔貌描写形式などは簡略な筆のタッチで表現するなど類型化し,各画面は人物の心理や情趣を鋭く造形化するというより,単なる説明的な挿図と化しているといえよう。

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大辞林 第三版の解説

むらさきしきぶにっきえまき【紫式部日記絵巻】

絵巻物。鎌倉中期の作。「紫式部日記」を絵画化し、詞ことばを添えたもの。絵二四段と詞二四段が残る。筆者未詳。紙本着色。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

紫式部日記絵巻
むらさきしきぶにっきえまき

鎌倉時代の絵巻。『紫式部日記』の本文を多少の省略、変更を施して詞書(ことばがき)とし、各段に絵を添えたもの。もとは10巻余り、60~70段程度の構成であったと推定される。現在は詞24段(うち一段は模写)、絵24段(詞と絵の場面が一致するもの22段)が残り、大阪・藤田美術館、東京・五島(ごとう)美術館(ともに国宝)、日野原家(重文)その他に分蔵されている。絵は平安時代の『源氏物語絵巻』などの作り絵の系統を引くが、建築の屋台引きに斜線を縦横に駆使し、機知に富んだ多彩な構図が特徴的。人物の描写にも動きと表情が現れ、引目鈎鼻(ひきめかぎはな)による伝統的な顔がみられる一方、写実味を加えた新しい形式の顔貌(がんぼう)表現が支配的である。詞書の書風は後京極(ごきょうごく)様を示し、また絵は新時代の傾向を伝統様式のうえに巧みに生かした宮廷絵師の筆とみられる。書画の作風から、13世紀前半(1220~40)の制作と推定されている。[村重 寧]
『小松茂美編『日本絵巻大成9 紫式部日記絵詞』(1978・中央公論社)』

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