デジタル大辞泉
「心付く」の意味・読み・例文・類語
心付・く
(「付く」が四段活用の場合)
1 愛情や関心が生じる。執心する。
「御娘たちの住まひ給ふらむ御ありさま思ひやりつつ、―・く人もあるべし」〈源・椎本〉
2 物心がつく。分別がつく。
「―・きなば、僧になして」〈太平記・九〉
3 気がつく。
「ある人々は―・きたるもあるべし」〈堤・虫めづる姫君〉
(「付く」が下二段活用の場合)
1 愛情や関心を持つ。思いを寄せる。
「うつせみの常なき見れば世の中に―・けずて思ふ日そ多き」〈万・四一六二〉
2 気をつける。注意する。
「若き人に見ならはせて、―・けんためなり」〈徒然・一八四〉
こころ‐づ・く【心付く】
[動カ五(四)]
1 気がつく。考えが回る。
「今更のように―・いて見ると」〈藤村・旧主人〉
2 失っていた意識を取り返す。正気づく。
「はっと―・いて我に返れば」〈露伴・椀久物語〉
[動カ下二]「こころづける」の文語形。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
こころ【心】 付(つ)く
- [ 一 ] ( 「付く」が自動詞四段活用の場合 )
- ① ある考えを持つようになる。心が起こる。
- [初出の実例]「わすれなんと思ふ心のつくからにありしよりけにまづぞこひしき〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋四・七一八)
- 「『いかでこれやしなはん』と思ふ心つきて思へど」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- ② ある対象に、愛情、執着、強い関心などが生じる。心にかかる。執心する。
- [初出の実例]「実忠といふ、宰相にて、このあて宮に御こころつき給て、いかできこえんとおぼせど」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
- ③ すぐれた分別や才覚などをもつようになる。また、成長して一人前の思慮分別をもつようになる。
- [初出の実例]「むかし、心つきて色好みなるをとこ、長岡といふ所に家つくりて居りけり」(出典:伊勢物語(10C前)五八)
- 「男は妻(め)を具して心つく、女房は夫にそひて心つくなり」(出典:御伽草子・物くさ太郎(室町末))
- ④ ある心がその人にそなわる。考え方や性格をもつ。
- [初出の実例]「事好みしたるほどよりは、あやしうあららかにゐなかびたる心ぞつきたりける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
- ⑤ 産気づく。
- [初出の実例]「静、思ひの外に堅牢地神も憐み給ひけるにや、痛む事もなく、そのこころつくと聞きて、藤次の妻女、禅師諸共に扱ひけり」(出典:義経記(室町中か)六)
- ⑥ ⇒こころづく(心付)
- [ 二 ] ( 「付く」が他動詞下二段活用の場合 ) ⇒こころ(心)を付く
こころ‐づ・く【心付】
- [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙
- ① 今まで意識の中にはいらなかった物事が、意識される。気がつく。
- [初出の実例]「などかさしも思ほし落とすべきと心つきてなん、かく俄にわたり侍つる」(出典:落窪物語(10C後)三)
- 「今更のやうに心付いて見ると」(出典:旧主人(1902)〈島崎藤村〉五)
- ② 心にかなう。気に入る。
- [初出の実例]「重盛公より、お心付(ココロヅ)かれし白拍子」(出典:歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)六立)
- ③ 分別や才覚が生じる。考えがしっかりしてくる。
- [初出の実例]「此年の比よりは、はや、やうやう声も調子にかかり、能も心づく比なれば」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)一)
- ④ 正気づく。元気づく。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ⇒こころづける(心付)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 