精選版 日本国語大辞典 「今更」の意味・読み・例文・類語
いま‐さら【今更】
[1] 〘形動〙
① (多く、下に否定、疑問、反語などを伴って、前の時点ではともかく、今となっては遅すぎるという気持を含む) 今になって。今また更に。
※万葉(8C後)一五・三七三四「遠き山関も越え来ぬ伊麻左良爾(イマサラニ)逢ふべきよしのなきがさぶしさ」
② 今になって、こと新しい感じがするさま。また、ふたたび新しい気がするさま。
※曾我物語(南北朝頃)四「箱王は父が昔をつくづくと聞きて、いまさらなる心地して、忍びの涙にむせびけり」
③ 今初めてのさま。急なさま。今新たに。
※徒然草(1331頃)七八「いまさらの人などのある時」
[2] 〘副〙 (多く、下に否定、疑問、反語を伴う)
① (前の時点ではともかく)今となっては遅すぎるという意を表わす。今となってはもう。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「あなかたじけな。いまさら人のしりきこえさせむも、なき御ためは、中々めでたき御すくせみゆべき事なれど」
※波形本狂言・武悪(室町末‐近世初)「一度打たせ申上た物が、今さらぶあくが首でござるといふてなんと出さるる物じゃ」
② 今初めて。今改めて。今急に。
※宇治拾遺(1221頃)六「いまさら申すべきことならねど」
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「変人なのも今更始った理(わけ)ではないから」
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