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心臓病の人と運動 しんぞうびょうのひととうんどう

家庭医学館の解説

しんぞうびょうのひととうんどう【心臓病の人と運動】

◎運動が必要な心臓病とその効果
 運動によって、副交感神経(ふくこうかんしんけい)と呼ばれるからだ全体のバランスを調節する神経は補強され、交感神経と呼ばれるからだ全体を高揚させ頑張らせる神経は鎮静(ちんせい)されます。その結果、心拍数は減少し、血圧は低下して、突然死の原因となる不整脈の発生は防止されます。
 このように、運動は心臓に対して良好な効果をもたらしますが、病気の種類によっては運動は心臓の負荷となって病気の悪化を招き、逆効果を生じることもあります。したがって運動が必要か、あるいは運動を禁止すべきかなどは病気によってちがってきます。
 運動が必要な心臓病は、心臓病のなかでももっとも多くみられる虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)(狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく))です。この病気の原因は動脈硬化(どうみゃくこうか)であり、動脈硬化の進展予防のためには運動は不可欠です。喫煙や高血圧とともに高脂血症(こうしけっしょう)や糖尿病(とうにょうびょう)は動脈硬化を進行させる重大な異常ですが、この高脂血症や糖尿病の治療に運動療法欠かせないものです。
 運動は、高脂血症では善玉(ぜんだま)コレステロールを上昇させる唯一の方法であり、糖尿病ではインスリンの必要量を減らす重要な作用があります。一方、虚血性心疾患でも、狭心症が完全に治療されておらず狭心症の症状がときどきみられる人、運動にともない危険な不整脈がみられる人、運動をすると心不全がみられる人などは、運動をあまりするべきではありません。十分な治療を受けた後に、医師の指導にしたがい運動を始めるべきです。
◎運動療法を行なうときの注意
 運動療法を行なうにあたって、いくつかの注意点があります。まず早朝の運動は避けること。昔から起床から約4時間が心筋梗塞や突然死が多いことがわかっており、朝は運動を控えるだけでなく、遊びや仕事の場合でもゆっくりと始めて軌道に乗せるようにしましょう。食後2時間以内も運動に適当な時期ではありません。この時間は、食べたものの消化・吸収に専念すべきです。
 つぎに、運動はある程度心臓に負荷をかける必要があります。脈の数がほとんど増えないような運動ではあまり効果はありません。専門医運動処方をしてもらうのが理想です。運動時間は通常は30分、長くても60分ぐらい行なったら一度休むようにしましょう。
 運動の種類は、ウエイトトレーニングのように、あまり動かずその場で力を出すようなものより、歩行やジョギングのようなからだを移動させる運動をすべきです。運動は、できたら毎日、最低でも1日おきとし、週に一度は休みの日としましょう。運動を続けると心拍数などが変わってきます。ときどき運動処方を変更してもらえばさらによいでしょう。
◎専門医に相談し、適切な運動療法を
 虚血性心疾患以外のすべての心疾患は、運動する場合に注意が必要といえます。積極的な運動療法は勧められませんが、どこまで運動してよいかは病気の種類と程度で異なります。逆に心臓病をもっていることで過剰に動くことを極端に避けて足腰が弱り、生活の質を低下させている場合もありますが、許容範囲で活動を続けることも大事です。
 また、心筋がしだいにおかされてくる拡張型心筋症では、決められた範囲内で運動療法を行なうことで活動能力があがり、生活の質が向上することが証明されています。
 専門医に十分相談して行ないましょう。

出典|小学館家庭医学館について | 情報