心葉(読み)ココロバ

デジタル大辞泉 「心葉」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ば【心葉】

心ばえ。心。
「人知れぬ我が―にあらねどもかきあつめても物をこそ思へ」〈和泉式部続集
綾絹四隅や中央に、銀・銅などで作った梅花や松の枝などの形をつけ、組紐くみひもで飾ったもの。香壺文匣ぶんこうまたは贈り物などの上を覆うのに用いた。
饗膳きょうぜんの四隅や贈り物などに、飾りとして添える造花生花を用いることもある。
大嘗会だいじょうえなどの神事に奉仕する官人采女うねめが、挿頭かざしの花として頭につける、貝や金銀金具の造花。

しん‐よう〔‐エフ〕【心葉】

《「こころば」を音読みにした語》挿頭かざしとしてつける造花。
しろがねの―、びんづらに取って付け」〈浄・振袖始

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心葉」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ば【心葉】

[1] 〘名〙
① こころ。心ばえ。歌語としては「葉」の意を掛ける。
※和泉式部続集(11C中)下「人しれぬわが心はにあらねどもかきあつめても物をこそ思へ」
② 香壺、文匣、あるいは、贈物などの上を覆うのに用いる綾の四隅と中央を飾る造花。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月二〇日「はこ一よろひにたきものいれて、心は、梅枝をしていどみきこえたり」 〔類聚雑要抄室町)〕
饗膳の四隅や洲浜の装飾などに立てる造花。ときに生花を切り立てて用いる場合にもいう。
※寛和二年皇太后詮子瞿麦合(986)「この洲浜のこころはに水手にて、能宣、常夏の花もみぎはに咲きぬれば秋まで色は深くみえけり」
大嘗会・新嘗会などの神事奉仕の官人や采女が、挿頭(かざし)の花として頭につける貝や金・銀の金具の造花。《季・冬》
満佐須計装束抄(1184)一「かぶりに日かげといふものを左右の耳の上にさげたり〈略〉此の糸飾る所に、こころ葉とて梅の枝の小さく造りたるを、このかづらにまとひて立てたり」
[2] (こゝろ葉) 俳諧撰集。一冊。団水編。宝永三年(一七〇六)刊。宝永二年八月、西鶴一三回忌に興行した連句一二巻と諸家発句七四をまとめたもの。西鶴の伝記資料としても貴重。

しん‐よう ‥エフ【心葉】

〘名〙
① 大嘗会(だいじょうえ)など宮中行事の時、かざしとして冠に付ける造花。こころば。
九暦‐九条殿記・五月節・天慶七年(944)五月五日「造昌蘰之体 用細昌草六筋〈略〉毎所用心葉縒組等」
イネ、ムギなどの単子葉植物で、古い葉の葉鞘中に包まれた茎の生長点の部に納まった新葉をいう。

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