六訂版 家庭医学大全科 「思春期早発症・遅発症」の解説
思春期早発症・遅発症
ししゅんきそうはつしょう・ちはつしょう
Precocious/Delayed puberty
(男性生殖器の病気)
どんな病気か
思春期早発症は、思春期以前に男性ホルモンが過剰に産生され、性成熟が早く出現した病的状態です。
思春期遅発症は、単に思春期の発来が遅れた状態で、類宦官症(るいかんがんしょう)とは違って病的ではありません。
原因は何か
生殖に関係する内分泌機能は、
思春期の初期には「寝る子は育つ」のたとえのように、睡眠中にGnRHの刺激を受けたゴナドトロピン(LH、FSH)、テストステロンの間欠的な分泌亢進がみられ、次第に昼間の基礎値も増加して男性化が進みます。
思春期早発症は早期に男性ホルモンの分泌が亢進した状態で、中枢性のGnRHの分泌が亢進し、ゴナドトロピン分泌、性ホルモン分泌が増加して性早熟を来した場合を
真性では原因疾患が特定できない
仮性では、先天性
検査と診断
10歳未満で
血中ゴナドトロピン値(LH、FSH)、
治療の方法
脳腫瘍によるものや仮性思春期早発症で腫瘍によるものでは、外科手術が第一選択になります。切除が不可能な場合には放射線療法も行われます。
副腎皮質過形成の場合は、副腎皮質ホルモン薬を投与してACTHを抑制し、DHEAを低下させて男性化を防ぎます。
特発性の大部分を占めるGnRH依存性の症例では、GnRHアナログ製剤(リュープリン)が最も有効で、4週間ごとに皮下注射を行います。身長の増加や骨年齢に留意しながら治療を行う必要があります。
武田 光正
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報