精選版 日本国語大辞典 「性徴」の意味・読み・例文・類語
せい‐ちょう【性徴】
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主として雌雄異体の多細胞動物で、雌雄を見分ける手掛りとなるような形質をいう。このうち、生殖腺(せん)そのもの、すなわち卵巣と精巣の特徴を第一次性徴、それ以外の性別を示す形質を第二次性徴という。さらに第三次性徴を区別することもある。哺乳(ほにゅう)類を例にとれば、精巣の付属器官である前立腺、貯精嚢(のう)、副精巣(精巣上体)などや、卵巣に付随する輸卵管、子宮、腟(ちつ)など、および外部生殖器(外生殖器・外性器)は第二次性徴とされる。さらに、ライオンの雄のたてがみ、ニワトリの雄のとさかやけづめ、魚類、両生類をはじめ脊椎(せきつい)動物に広くみられる婚姻色など、一見して動物の雌雄が見分けられる特徴も第二次性徴である。雌雄の行動の違いや心理的な差違は第三次性徴といえよう。これら第二次、第三次の性徴は卵巣および精巣から分泌される雌性ホルモン、雄性ホルモンの作用で発現する。したがって、精巣や卵巣を除去すればこれらホルモンの作用が消失するので、第二次・第三次性徴のほとんどが認められなくなる。このようにして失われた性徴は、ホルモンの投与によりふたたび出現する。脊椎動物では、生殖腺系の内分泌調節機構は脳に支配されているが、とくに哺乳類ではこの機構の雌雄性が脳に存在し、これも一つの性徴といえる。なお、精巣や卵巣の付属器官の性徴を第一次性徴として扱うこともある。
一方、無脊椎動物でもさまざまな性徴がみられ、多くの場合、遺伝的な性に対応しているが、甲殻類のなかには造雄腺という内分泌器官が雄性生殖器官および雄の性徴のすべてを支配しているものがある。昆虫にも、幼虫の精巣の一部に造雄腺と思われる器官があり、性徴の発現を支配しているものがある。
[町田武生]
ヒトにおいても個体の性別を特徴づける形質を性徴といい、生殖腺自身の特徴を第一次性徴、生殖腺以外の特徴、すなわち内生殖器や外生殖器その他にみられるものを第二次性徴とよぶ。第二次性徴のうち、内外生殖器の構造、脳の機能上の性差は胎児期に、体型や毛髪分布などの特徴は思春期に至って、一定の範囲内で生殖腺ホルモンに依存して発現する。
ヒトの場合、生殖腺は胎児第六週までは構造に性差がなく、原始生殖腺とよばれる。原始生殖腺は皮質と髄質よりなる。第七週から第八週にかけて、男性では髄質が精巣へと発達して皮質は退化する。この精巣分化にはY染色体上の遺伝子によりつくられるH‐Y抗原(雄特異的抗原)が必要であると推測されている。女性では皮質が卵巣へと発達して髄質は退化する。この時期に精巣にはライディッヒLeydig細胞が出現して男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が始まるが、卵巣はホルモンを分泌しない。こうして第一次性徴が現れると、引き続いて性ホルモンに依存して第二次性徴が現れる。
第七週胎児は男女両性の原始生殖管(ウォルフWolff管とミュラーMüller管)をもっているが、男性では精巣から放出されるミュラー管退行因子(ポリペプチドと思われる)がミュラー管の発達を抑制し、ウォルフ管が発達して精巣上体、輸精管となり、女性ではミュラー管が発達して卵管、子宮、腟となる。外生殖器は第八週まで男女共通の泌尿生殖裂孔であるが、男性ではアンドロゲンの作用で裂孔が消失して男性の外生殖器になり、女性では裂孔がそのまま残って女性の外生殖器になる。思春期になると下垂体からのゴナドトロピン分泌が増加し、その結果、生殖腺のホルモン分泌が盛んになるので、第二次性徴は著明に現れる。男子ではアンドロゲンによって陰茎、精嚢、前立腺などが発達し、声帯緊張が低下して声が低音になり、男性型の体毛の分布(髭(ひげ)、頭髪前側頭部の後退、恥毛、胸毛など)がみられ、肩幅の増大や筋肉の発達など男性的な体型となる。女子ではエストロゲンの増加とアンドロゲンの欠乏により、殿(臀(でん))部の広い女性的な体型、乳房、子宮、腟の発達、女性型の恥毛分布などが現れる。
[川上正澄]
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[男女差と人種差]
男性と女性の体には性差がある。内外の生殖器の違いを一次性徴といい,それ以外で思春期以降に現れるものを二次性徴という。二次性徴としては,外観上次のような性差がみられる。…
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