デジタル大辞泉 「情」の意味・読み・例文・類語
じょう〔ジヤウ〕【情】
2 他人に対する思いやりの気持ち。なさけ。人情。「
3 まごころ。誠意。
4 意地。
5 特定の相手を恋い慕う気持ち。愛情。また、特定の相手に対する肉体的な欲望。情欲。「夫婦の
6 事情。いきさつ。「
7 おもむき。味わい。趣味。
[類語](1)感情・心情・情動・情操・情感・
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国思想の用語。狭義には感情,情欲のことで,七情(喜,怒,哀,懼(おそれ),愛,悪(にくしみ),欲)として類型化されるが,広義には静かな〈性〉(本性)が動いた状態をすべて情と呼ぶ。したがって四端(惻隠(あわれむ),羞悪(はじる),辞譲(ゆずる),是非)や思慮なども情の範疇(はんちゆう)に入る。情がさらに激しく動いた状態が〈欲〉とされたようである。宋の胡宏(五峯)は性,情,欲の関係を次のような比喩で表現している。〈性は水,心はその流れ,情は水の瀾(さざなみ),欲は水の波浪のようなものである〉(《胡氏知言》巻二)。心の安定をめざす中国の修養論では,この情にいかに対処するかが大問題であった。東晋の仏教者慧遠(えおん)や唐の李翺(りこう)などは,情を悪ときめつけ,滅情論を主張した。儒教では伝統的に情それ自体を否定せず,怒るべきときに怒り喜ぶべきときに喜ぶといった,正しい発出のあり方を求めた。南宋の朱熹(子)もけっして情を否定しなかったが,ただ性を〈天理〉に,情を〈人欲〉に結びつけ,〈天理をなして人欲を滅す〉というテーゼをかかげたため,後世から人間性の抑圧という批判を浴びた。
執筆者:三浦 国雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…北宋の程頤(ていい)(伊川)によって提唱され,南宋の朱熹(しゆき)(子)によって発展させられたテーゼ。程伊川と同時代の張載(横渠(おうきよ))は〈心は性と情とを統括する〉と述べたが,伊川―朱子によれば,性(本性)は理であるのに対して情(感情,情欲としてあらわれる心の動き)は気であるとされる。気は本来善悪とは関係のない存在論的なカテゴリーであるが,朱子学では心を形づくる気は不善への可能性をはらむとみなすので,情=気の発動いかんによっては本来的に天から賦与されている善性=理がゆがめられるおそれがある。…
※「情」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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