(1)中世において,国衙や荘園領主に納入すべき官物(かんもつ),年貢,雑役などのこと。所当官物,年貢所当というように,官物や年貢と連結して使用される場合が多く,その独自の意味を定義することは難しい。例えば,《御成敗式目》の第5条は,その条目を〈一,諸国地頭令抑留年貢所当事〉とするが,本文では〈右抑留年貢之由〉と〈年貢〉1語におきかえているのである。本来の意味は(2)の〈相当する〉に通じていたようで,988年(永延2)の《尾張国郡司百姓等解文》の第6条では,〈但,疋別所当料田〉(疋別に当たれる所の料田)というように使用されている。
(2)相当すること,適当なこと,当を得ていることの意の一般的用例としては,《平家物語》(巻二,教訓状)の〈所当の罪科おこなはれん上は,退いて事の由を陳じ申させ給ひて,君の御ためには弥(いよいよ)奉公の忠勤をつくし〉などがある。
執筆者:木村 茂光
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中世の田畠に課せられるさまざまな年貢や公事(くじ)。本来は「相当する」「適当する」という意味の一般的な広い用法で,10~11世紀には所当官物(しょとうかんもつ)・所当年貢・所当地子(じし)・所当公事など内容を限定する語に冠して用いられ,国衙(こくが)・荘園領主などへの官物・年貢・地子・加地子なども含んだ。12世紀以降,所当が単独で用いられるようになり,しばしば所当・公事と並称されるようになるが,鎌倉時代にも国衙所当など官物の用例もあり,必ずしも年貢と同じではなかった。しかし,官物・地子などの意味で用いられることが少なくなり,しだいに田畠の租だけをさすようになる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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【中世】
荘園において田畠を耕作する者は,荘園領主に生産物の一部を貢納する義務をもっていた。この貢納物が年貢であるが,平安時代から鎌倉時代にかけては所当(しよとう)とか乃貢(のうぐ)あるいは土貢(どこう)などと呼ばれることも多かった。畠の年貢は地子(じし)と呼ばれている。…
※「所当」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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