尾張国郡司百姓等解文(読み)オワリノクニグンジヒャクショウラノゲブミ

  • おわりのくにぐんじひゃくしょうらげぶみ
  • おわりのくにぐんじひゃくしょうらのげぶみ〔をはりのくにグンジヒヤクシヤウら〕
  • おわりのくにぐんじひゃくせいらのげぶみ

百科事典マイペディアの解説

988年尾張国の郡司,百姓らが国司藤原元命(もとなが)の悪政を訴えた文書。不法な租税の取立てなど当時の地方政治の乱れがうかがえる。原本は伝存しないが,早稲田大学図書館本などの古写本(こしゃほん)が伝わる。
→関連項目尾張国

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世界大百科事典 第2版の解説

尾張国解文ともいう。988年(永延2)尾張国内の郡司や有力農民が国守藤原元命の在任中3年間の非法失政を朝廷に直訴した31ヵ条の告訴状。内容は,公出挙(くすいこ)や交易による課税の増加や郎等らを率いての乱暴,運送負担の強制,元命自身の私利追求など多岐にわたっている。10~11世紀は,国司の政治を告発したり直接襲撃を行う事件が各地で頻発していたが,当史料は10世紀末期の地方政治の実態を具体的に知る希少な価値をもっている。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

平安中期,尾張国の郡司・百姓らが国司の悪政を訴えた文書
988年,尾張国の郡司・百姓らは,国司藤原元命 (もとなが) の悪政に対して,31カ条にわたってそのようすを書き記して朝廷に訴え,元命の罷免を求めた。国司の腐敗を示す重要な史料。

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世界大百科事典内の尾張国郡司百姓等解文の言及

【尾張国】より

…尾張国においては,住民が国司の悪政を訴えて出るという例が多くみられた。とりわけ,10世紀の末葉における藤原元命の場合には,郡司や百姓による31ヵ条にわたる国司弾劾の内容が,《尾張国郡司百姓等解文》として今日に伝えられていて,国司罷免というその結果とともに上訴事件の代表例として知られている。数多い同類の事件の一例であろうが,地方行政のポストを単なる利権の対象とみる当時の中央貴族たちの実態を示すものといえよう。…

【官物】より

…その結果,租・正税などは田1反を基準に課せられて,以後この地税が〈官物〉と称され,人別賦課形式をとる,もう一つの課税である〈臨時雑役〉とならんで,平安中期(10~11世紀半ば)の国家の新たな徴税体系の柱となった。もっとも当初は,租・調などの個々の律令税目まで廃止されたわけでなく,官物・臨時雑役とはそれぞれ地税・人頭税の総称であったが,988年(永延2)の〈尾張国郡司百姓等解文〉によると,遅くとも10世紀末には,税目ごとの区別は事実上失われ,田1反あたりいくらで官物総額が課せられるようになっている。また官物の品目は名目上は米であるが,現実の収納にあたっては,国司が必要に応じて米やさまざまの手工業製品(絹,布など)で納めさせるという方式が行われていた。…

※「尾張国郡司百姓等解文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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