打捨てる(読み)ウチステル

デジタル大辞泉 「打捨てる」の意味・読み・例文・類語

うち‐す・てる【打(ち)捨てる】

[動タ下一][文]うちす・つ[タ下二]

㋐構わないでおく。ほったらかしにする。「この件は―・ててはおけない」
㋑思いきって捨てる。
「いとはしたなくて、あしも―・てて逃げにけり」〈大和・一四八〉
㋒あとに残して行く。見捨てる。
「さりとも―・てては、え行きやらじ」〈桐壺
切って捨てる。
「敵の兵したひよれば踏みとまり、切り捨て―・て」〈浄・国性爺
[類語]ほったらかしそっちのけうっちゃらかすうっちゃる閑却放置野放し放任捨て置く差し置く置き去り放擲ほっとく遣りっぱなしほったらかすほっぽらかす握りつぶす取り残す置いてきぼり置いてけぼり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打捨てる」の意味・読み・例文・類語

うち‐す・てる【打捨・討捨】

  1. 〘 他動詞 タ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]うちす・つ 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙
  2. [ 一 ] ( 「うち」は接頭語 ) 深い関心を払わないでおく。かまわないでおく。
    1. 勢いよく投げ出す。思い切って捨てる。うっちゃる。
      1. [初出の実例]「蘆(あし)もうちすてて逃げにけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一四八)
    2. 死、出家別離などで、人を後に残す。置き去りにする。
      1. [初出の実例]「打すてて君しいなばのつゆの身はきえぬ許ぞ有とたのむな〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)離別・一三一〇)
    3. 気にしないでいる。無造作に物事をする。ほうっておく。
      1. [初出の実例]「もろともにいでゐつつ、つくろはせし草なども、〈略〉うちすてたりければ、おひこりて」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      2. 「そんな事はとんと打捨る事さ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)
  3. [ 二 ] 人を斬って、首をとらずにそのままにしておく。斬り捨てる。
    1. [初出の実例]「落人を切とどめんと、敵の兵したひよればふみとまり、切捨打捨引しほの海登(かいどう)の港に着にける」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)一)

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