デジタル大辞泉
「投ずる」の意味・読み・例文・類語
とう・ずる【投ずる】
[動サ変][文]とう・ず[サ変]
1 投げる。投げ入れる。投じる。
㋐物を投げる。ほうる。「白球を―・ずる」「一石を―・ずる」
㋑投げ込むようにして入れる。投げ入れる。「一票を―・ずる」「滝壺に身を―・ずる」「獄に―・ずる」
㋒離れた所から届くようにする。投げかける。「光を―・ずる」
㋓途中でやめてしまう。投げ出す。「筆を―・ずる」
㋔ある環境の中に自分から進んで身を置く。「反対運動に身を―・ずる」
㋕資金・労力などを、惜しまずつぎ込む。「財を―・ずる」
㋖薬などを与える。投与する。「解熱剤を―・ずる」
2 自分自身を入れ置く。投じる。
㋐うまく利用する。つけいる。乗ずる。「時流に―・ずる」
㋑宿をとる。宿泊する。「旅宿に―・ずる」
㋒降参する。投降する。「敵の軍門に―・ずる」
㋓互いに合う。一致する。「嗜好に―・ずる」「意気相―・ず」
[類語](1)投げる・放る・ほうり投げる・ほっぽる・ぶん投げる・投げつける・投げ入れる・投げ込む・放り込む・投入・投函
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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とう‐・ずる【投】
- [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
[ 文語形 ]とう・ず 〘 自動詞 サ行変 〙- ① つけいる。つけこむ。乗ずる。
- [初出の実例]「物に応じ機(き)に逗(トウ)ずるの上には」(出典:地蔵菩薩霊験記(16C後)四)
- 「洋装流行の嗜好に投(タウ)ずる最も廉(やすね)にして美な品であれば」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一二)
- ② ( 自分の身をある場所に置く意から ) 宿泊する。やどる。とまる。投宿する。また、乗り物に乗る。
- [初出の実例]「波声撼二動沙辺樹一、欲レ宿今無二枝可一レ投」(出典:豩菴集(1420)山水図・有鷺)
- 「去って隣村の旅舎に投(トウ)ず」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
- ③ 降参する。投降する。
- [初出の実例]「勤王家も大に悟りて開国主義に変じ、恰も佐幕家の宿論に投(トウ)ずるが故に」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉老余の半生)
- ④ あう。一致する。投合する。
- [初出の実例]「意気投(タウ)じ処論合って」(出典:うもれ木(1892)〈樋口一葉〉五)
- [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
[ 文語形 ]とう・ず 〘 他動詞 サ行変 〙- ① なげる。なげ入れる。
- (イ) 物をなげ出す。ほうる。
- [初出の実例]「大石を三百歩ばかり投ずるぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
- (ロ) ( 自分の身をある環境になげ入れる意から ) 進んで身をゆだねる。また、身を置く。
- [初出の実例]「一向に仏法に身心を投ぜんことを、ふかくたくはふるこころとせるは」(出典:正法眼蔵(1231‐53)礼拝得髄)
- 「いはゆる芸界に投じて以来の辛酸についても語った」(出典:受胎(1947)〈井上友一郎〉)
- ② 入れる。おしこめる。
- [初出の実例]「此段上に不レ届候処、後脇より露顕せし故投レ獄」(出典:久保清太郎・久坂玄瑞宛吉田松陰書簡‐安政六年(1859)八月一三日)
- ③ 贈る。与える。また、投与する。
- [初出の実例]「卿之投レ薬、前視二千金之裘一、猶レ対二龍虎一」(出典:三教指帰(797頃)中)
- 「余、金を投(トウ)じて之れに謝せん」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
- ④ ふるう。はらう。
- ⑤ (金などを)つぎこむ。
- [初出の実例]「銭を投じて買ふ可し」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一)
- ⑥ 募集に応じて作品を送ったり、選挙で投票したりする。
- [初出の実例]「富枝は脚本を書いて見た。〈略〉ある新聞で懸賞の脚本を募った時に試しにそれを投じておいた」(出典:あきらめ(1911)〈田村俊子〉二)
- 「『清き一票』を投ずる筈はない」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉譃)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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