慶運(読み)けいうん

精選版 日本国語大辞典 「慶運」の意味・読み・例文・類語

けいうん【慶運】

南北朝時代歌僧法印浄弁の子。慶幸の父。法印。祇園目代をつとめた。為世門下二条派歌人で、浄弁、兼好頓阿とともに和歌四天王一人。「慶運法師百首」「慶運法師集」がある。応安二年(一三六九)ごろまで存命したことが知られているが、生没年未詳。きょううん。

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デジタル大辞泉 「慶運」の意味・読み・例文・類語

きょううん〔キヤウウン〕【慶運】

[?~1369ころ]南北朝時代の歌人。法印。僧浄弁の子。頓阿・兼好・浄弁とともに、和歌四天王といわれた。家集に「慶運法印集」がある。けいうん

けいうん【慶運】

きょううん(慶運)

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改訂新版 世界大百科事典 「慶運」の意味・わかりやすい解説

慶運 (けいうん)

南北朝期の歌僧。〈きょううん〉ともいう。生没年不詳(1370年代に70余歳で没か)。父は法印浄弁。青蓮院に仕え,後に法印に至る。吉田兼好,頓阿,浄弁とともに二条派為世門の和歌四天王の一人。貴顕信望を得て公武歌界で活躍したが,生前は勅撰集に2首入集のみ(死後17首)で,孤高不遇だった。歌集に《慶運法師百首》《慶運法印集》(305首)があり,《骸骨の絵の賛》を書く。〈庵結ぶ山の裾野夕雲雀あがるも落つる声かとぞ聞く〉(《新後拾遺集》)。
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朝日日本歴史人物事典 「慶運」の解説

慶運

没年:応安2/正平24.6以降(1369)
生年:永仁年間?(1293~99)
鎌倉・南北朝時代の歌人。名は「きょううん」とも。父は法印浄弁。早くに出家し,正和4(1315)年『花十首寄書』以来の歌壇活動が知られる。康永3/興国5(1344)年10月『金剛三昧院奉納和歌』に出詠。翌年には二条為定より古今伝授を受ける。能誉に代わり,父浄弁,頓阿,兼好と並ぶ二条為世門の和歌四天王とされるが,狷介な性格もあってか頓阿とは不仲で,長高く古風な歌風も二条派のなかでは異質である。青蓮院の尊円・尊道法親王に仕え,祇園別当目代を度々勤めている。『拾玉集』の編纂にも関与した。晩年は冷泉為秀に親近し,今川了俊,二条良基の評価も得ている。家集『慶運法印集』『慶運百首』がある。

(田仲洋己)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「慶運」の意味・わかりやすい解説

慶運
けいうん

南北朝時代の二条派の歌僧。「きょううん」とも読む。浄弁の子。正平 24=応安2 (1369) 年 70歳頃まで生存。頓阿,兼好,浄弁とともに南北朝期の和歌四天王の一人。「高野山金剛三昧院奉納短冊」の人数に入り,正平7=文和1 (52) 年関白良基の百首に列しているが,生存中の勅撰集には1首も入らず,不遇であった。『慶運法師百首』『慶運法印集』がある。頓阿などに比べて,よりものさびた,やや古風な感じの作風。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「慶運」の解説

慶運 けいうん

?-1369ごろ 南北朝時代の歌人,僧。
浄弁の子。天台宗。尊円,尊道の両入道親王につかえ,法印となる。頓阿(とんあ),吉田兼好,父浄弁とともに二条為世(ためよ)門下の和歌四天王とよばれた。二条派の中では重視されず,晩年は冷泉(れいぜい)為秀の門人となった。応安2=正平(しょうへい)24年ごろ死去。「きょううん」ともよむ。歌集に「慶運百首」「慶運法印集」など。

慶運 きょううん

けいうん

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旺文社日本史事典 三訂版 「慶運」の解説

慶運
けいうん

生没年不詳
南北朝時代の歌人
浄弁の子。頓阿 (とんあ) ・浄弁・吉田兼好と並んで和歌四天王と称された。二条派の歌人で,物さびて冷徹した主観に支えられた歌風。家集に『慶運法印集』1巻がある。

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世界大百科事典(旧版)内の慶運の言及

【慶運】より

…貴顕の信望を得て公武歌界で活躍したが,生前は勅撰集に2首入集のみ(死後17首)で,孤高不遇だった。歌集に《慶運法師百首》《慶運法印集》(305首)があり,《骸骨の絵の賛》を書く。〈庵結ぶ山の裾野の夕雲雀あがるも落つる声かとぞ聞く〉(《新後拾遺集》)。…

※「慶運」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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