擬麻加工(読み)ギマカコウ(その他表記)imitation linen finishing

デジタル大辞泉 「擬麻加工」の意味・読み・例文・類語

ぎま‐かこう【擬麻加工】

綿織物レーヨンなどにのり状物質を付加したり、強アルカリによる処理で収縮させたりして、麻のような硬い感触外観を与える加工。擬麻法。

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精選版 日本国語大辞典 「擬麻加工」の意味・読み・例文・類語

ぎま‐かこう【擬麻加工】

  1. 〘 名詞 〙 綿織物、スパンレーヨン織物に、麻のような感触と外観を与えるための加工。ゼラチンビスコース、コンニャク粉などの糊状物質あるいは樹脂を用いて繊維表面を膠着させるか、または低温アルカリ、濃硫酸などによる化学処理で、繊維表面を一部溶解膠着させて行なう。擬麻法。

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改訂新版 世界大百科事典 「擬麻加工」の意味・わかりやすい解説

擬麻加工 (ぎまかこう)
imitation linen finishing

綿あるいはレーヨン織物(ときには糸)に麻のような硬い風合いを付与する加工法。加工効果をあげるため,麻繊維に形状の似たスラブ糸(粗糸をところどころに撚(よ)り込んだ糸)を用いることが多い。機械的加工法もあるが,化学的加工法によることが多い。ゼラチン,カゼイン,こんにゃく,ビスコースなどの糊剤で処理し,繊維間を膠着させると風合いが硬くなる。このとき,ゼラチン,カゼインはホルマリン酢酸アルミニウムで,こんにゃくやビスコースはアルカリで固化させる。また,濃硫酸や冷苛性ソーダによって繊維表面の一部を溶解膠着させて擬麻加工効果をだすこともできる。濃硫酸処理によるものをオーガンジー加工organdy finishing,冷苛性ソーダ処理によるものをコールドマーセリゼーションcold mercerization(マーセリゼーション)という。また,縮合度の高い尿素ホルマリン樹脂などを用い,キュアリング(乾熱処理)によって繊維表面に樹脂を沈着させた場合にも擬麻加工効果が得られる。なお,擬麻加工と反対に軟らかくしなやかな風合いを得る加工法を柔軟加工といい,これに用いる高級アルコールなどの薬剤を柔軟加工剤という。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「擬麻加工」の意味・わかりやすい解説

擬麻加工
ぎまかこう

綿織物、スパンレーヨン織物などに擬麻加工を施したもの、あるいは同様な加工を施した擬麻加工糸。麻(あさ)製品に似た外観や感触を与えた生地(きじ)や糸。擬麻加工は、麻に似た硬い感触を付与するために、ゼラチン、カゼイン、こんにゃく粉、ビスコースなどの糊(のり)状物質、あるいは合成樹脂類を加工して不溶性とすることでつくられる。また強アルカリで繊維の表面を一部溶解し、マーセライズ化したりする方法がとられる。これらの加工によって、手ざわりは硬くなり、伸縮度は小さくなるが、麻のような冷感とつやを出すことができる。夏の婦人子供服地、シャツ地などに使われるが、洗濯には弱くなる。

[角山幸洋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「擬麻加工」の意味・わかりやすい解説

擬麻加工
ぎまかこう

繊維や織物の仕上げ加工の一種で,麻のような感触と光沢を与えるためのもの。おもに綿,セルロース系繊維 (レーヨンなど) に施すことが多い。その加工法は,ロールに巻きつけ引っぱりながら圧熱するカレンダー法,カセイソーダ水溶液に浸すアルカリ処理法,65%硫酸の中に浸す方法,そのほか,ゼラチン法,カゼイン法などがある。特に加工布をリンネットと呼ぶこともある。用途は亜麻布 (糸) とほとんど同様であるが,洗濯に弱いという欠点がある。

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