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放送教育 ほうそうきょういく

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百科事典マイペディアの解説

放送教育【ほうそうきょういく】

ラジオやテレビジョンを媒体として行われる教育。視聴覚教育の一種。学校教育での利用を目的とする学校放送(日本ではラジオで1933年,テレビで1953年開始)をはじめ,通信教育講座,語学講座,職業・技術講座などの教育放送があり,社会教育家庭教育の機能ももつ。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうそうきょういく【放送教育】

ラジオ・テレビなどの提供する放送番組を利用して学習を援助する教育。視聴覚教育の重要な部分である。日本では,1925年3月のラジオ放送開始とともに語学や教養講座が行われた。学校放送は,33年大阪中央放送局により始められ,35年全国向けに広がり,文部省は41年,学校放送を正式に教材として認めた。第2次大戦後,53年のテレビ放映開始と同時にテレビ学校放送が始まり,59年のNHK教育テレビNET(日本教育テレビ)開局以降,さらにテレビが活用されるようになったが,ラジオは1958年を頂点として減少した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

放送教育
ほうそうきょういく
education through radio and television

放送教育を字義どおりに解すれば、広く放送を利用して展開される教育活動である。放送教育ということばは1935年(昭和10)ごろから使われ始めている。この年にNHK(日本放送協会)の学校放送が全国規模で実施されたことによる。1980年代なかばから放送媒体の種類が、いわゆるアナログテレビにおける多重放送草分けであるビットキャスト放送、そして地上デジタル放送を含めたテレビ、ラジオのみならずインターネット放送衛星(BS)、通信衛星(CS)など多岐にわたるとともに、その利用分野も多方面に及ぶようになった。しかし、今日でも、日本放送教育学会が1982年に示した次のような定義が一般的である。すなわち「放送教育とは、テレビ、ラジオをはじめ、これに類似する通信媒体およびそれらによる情報の制作と利用により、学校教育、社会教育などにおける教育内容を拡充し、教育方法を改善する営みである」。[篠原文陽児]

学校教育

当初、学校放送は小学校向けに行われていただけであったから、放送教育の範囲も小学校の段階にとどまっていた。しかし、その後50年以上を経て学校放送は幼稚園から高等学校に至るすべての学校段階に対して行われるようになり、のちに指摘するような教育放送の媒体や形態にも新しいものが現れ、放送教育の対象は学校の外に広がり、著しく拡大されていった。カラーテレビの受像機が小学校、中学校、高等学校ともにほぼ完全に普及した1980年代では、テレビ学校放送の利用率がきわめて高かった。当時、小学校では、全学級でテレビのシリーズ番組を継続して定時に視聴させる形が多くみられ、理科、社会科、道徳番組に顕著であった。中学校、高等学校においても、小学校ほどではないものの、その利用率は年々増加する傾向を示していたが、1991年(平成3)をピークに、放送メディアの多様化と個々の学習者の興味・関心・意欲にいっそうこたえるメディアの適切な選択が推進されたことによって、徐々に減少する傾向にある。
 そのほかの傾向として、小学校のテレビ利用校ではほぼ全員の教師が利用しているのに対し、中・高校では、利用校でも一部の教師しか使っていないことがあげられる。また、テレビ学校放送の教師による利用率については、年齢差は認められないが、男女差はある。とくに小学校では、ほとんどの番組で女性教師の利用率が男性教師の利用率を上回っている。
 一方、1980年代後半のもっとも大きな傾向として社会へのビデオテープレコーダー(VTR)の急速な普及があった。家庭用のVTRは1975年(昭和50)に初めて発売された。そして、学校では1980年には保有率が5%に満たなかったが、2001年(平成13)では小・中・高校の学校平均で85.3%になっている。このようなVTRの普及と放送メディアの多様化の一つであるインターネットを通じた映像等データベースへの利便性の充実は、「生(なま)放送・まるごと・継続視聴」が中心であった放送教育を「録画・選択利用」やこれらの併用利用に変化させ、今日に至っている。そのため、学校における高速回線を含む情報通信ネットワーク整備の進展とあいまって、これまでの放送教材に対する取り組み方や、放送番組の作り方などを含めて放送教育のあり方も見直すときにきている。その一例に、今日、「特性処遇交互作用」(aptitude-treatment-interaction、ATIとよばれる)で明らかにされている「メディアと学習者の個性に対応した指導法」に関する教育研究に基づく番組の制作や提供および利用の推進がある。また、教員養成段階における、マルチメディアコンピュータを活用した映像制作と、情報発信の理論と実践に関するメディア教育にかかる授業の開設や自主的活動の促進などもあげられる。[篠原文陽児]

社会教育

教育教養番組を中心として放送局から放送されるテレビ、ラジオの番組が放送教育の主要媒体であることはいうまでもない。しかし、情報通信ネットワーク社会への移行にあわせて、テレビはデジタル化、コンピュータは映像化に向かい、厳密な意味の放送以外に有力な教育媒体が多く出現している。たとえば、放送波以外の電波を利用するものとしては、特定の多数の受信機に音声を伝達する同報通信や、特定の施設に対して画像を送る特殊テレビなどがあり、ケーブルによるものには、有線放送や閉回路テレビ、インターネットなどがある。さらに、パッケージ系として、大容量のデジタルビデオディスク、パソコンソフトなどがあげられる。放送に類似するこれらの媒体は、狭い地域や団体等で運営することが可能であり、それぞれの特殊目的に応じた利用を促進することに役だっている。1999年には、通信衛星を利用した教育情報ネットワーク「エル・ネット」を活用した小・中学生向けの「子ども放送局」などが、全国を対象に開始され、今日その内容はいっそう充実してきている。
 一方、今日の高度情報化社会では、学校教育が人生に必要な知識、技能をすべて教えることなど思いもよらないことである。現在は生涯学習の時代でもあり、学校では基礎的な学力と学習の仕方、それに学習意欲を身につけさせることに集中して、その後の生涯のそれぞれの時期に必要な事柄が学習できるようになりつつある。このことを念頭に置くと、情報伝達の優れた手段であるラジオやテレビ、あるいはインターネットやマルチメディアなど、これらに類似した媒体が積極的に取り入れらることが期待される。そして、学習や教育の環境を適切にデザインし、構築して、こうした媒体が教育のあらゆる分野で活用されるようになると思われる。[篠原文陽児]

放送教育の変質

ラジオ学校放送の聴取率の上昇は1960年までであり、その後のテレビ学校放送の充実とカラー受像機の普及とともに、テレビの視聴率がラジオのそれを上回るようになった。これが第一の変化である。第二として、すでに指摘したように、1980年代中ごろのVTRの普及に伴った「録画・選択利用」への放送教育観の変化がある。こうした変化の背景には、VTRテープの低価格化、高品質で廉価な市販のVTR教材の出現、映像ライブラリーの充実、インターネット上の資料性に富む映像素材の蓄積と利用、等々がある。一方、社会と子供の変化に対応した、番組の送り手側による特別シリーズなどの放送も録画・選択利用を促す要因である。さらに、第三の変化として、1980年代なかば以降のビデオディスクやパソコン、マルチメディアのめざましい発達に加え、2001年(平成13)の政府内「IT戦略本部」設置とe-Japan戦略の策定に端を発する国をあげての情報化の推進により、学校や社会への機器の導入も加速されたことを指摘できる。これには、1985年度から実施された文部省(現文部科学省)による補助金の制度が大きな役割を果たした。地上デジタル放送と衛星放送を含む高度情報通信ネットワーク社会のなかで、放送のあり方自体が揺れ動いていることを前提にしながら、社会の変化はもちろんのこと、デジタルネイティブに代表される1980年代以降に生まれた人々のメディアに対してより積極的で違和感のない特殊性を見据えた放送教育の新しい姿も探究されるべきである。[篠原文陽児]

国際協力

イギリスは全国的な教育放送が早くから発達した点において、また、アメリカ合衆国ではローカルの教育放送局が発達している点で教育放送の先進国といえるが、これに伍(ご)して日本の教育放送の普及も世界的に高い水準にあるといえる。そのため、国際協力も盛んである。1986年(昭和61)には、当時の郵政省や外務省の協議のもとに「教育放送国際協力推進会議」が組織され、アジア・オセアニア地域での放送教育に関する調査結果等を踏まえた会議がインドネシアのジョクジャカルタで開催された(1986~91)。そこで得られた知見は、各国で発展の段階こそ異なるが、放送教育の原点が押さえられていることである。この点では、日本の放送教育の問題を吟味するうえでも、また国際協力の面でも、大きな意味をもつ会議であった。この会議には国際協力機構(JICA(ジャイカ))など国際的援助機関の支援がその後も積極的に継続された。
 また、放送教育と国際化の発展に大きく貢献している国際的コンテストとして「日本賞」がある。これは、1965(昭和40)年に、教育番組国際コンクールとしてNHKが創設し、以来、「世界の教育番組の向上と国際的な理解・協力の増進」という目的のもとに、教育番組の発展に寄与してきている。とくに、デジタル放送が徐々に普及し始め、インターネットが普及したことにより2008年(平成20)から、世界の教育現場の大きな変化に対応すべく、審査対象がテレビ番組から、リニア・コンテンツ(テレビ、ビデオ、映画など)、ウェブサイト、教育ゲーム、その他双方向コンテンツへと広がってきている。今後は、より多くの音と映像を用いたコンテンツの提案と制作が増え、高い教育効果を示し、かつ創造的な作品に出会い、世界でも類を見ない、メディアの枠を超えた制作者や教育関係者の集う学習の場となることが期待されている。[篠原文陽児]
『『新 教育の事典』(1979・平凡社) ▽全国放送教育連盟・日本放送教育学会編『放送教育50年』(1986・日本放送教育協会) ▽海外教育放送研究会編『国際協力としての教育放送』(1997・日本放送教育協会) ▽磯辺武雄著『わが国の学校放送史の研究』(1999・北樹出版) ▽海外教育放送研究会編『教育放送の国際展開とその成果――総括と展望』(2001・日本放送教育協会) ▽NHK放送文化調査研究所編『放送研究と調査』各年版(日本放送出版協会)』

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