コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

教相判釈 きょうそうはんじゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

教相判釈
きょうそうはんじゃく

仏教のもつ経典を,その形式,思想内容などによって分類しこれを体系化して,仏陀の真の教えを確立する試みのこと。たとえば,大乗と部派仏教の区別を立てたことなどは,その最も初期の例といえる。この傾向は,特に中国において発達したが,それはインドにおいて時を異にして成立した仏教の典籍が,中国でほとんど同時期に翻訳されたので,自分の宗派の立場を合理的に確立するためには,教相判釈が重要であったからといわれている。『解深 (げじん) 密経』の三時,『十住毘婆沙論』の難行道易行道天台宗五時八教,真言宗の顕密二教などは有名な教相判釈であるが,そのほか数多く存する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

きょうそう‐はんじゃく〔ケウサウ‐〕【教相判釈】

仏教経典を、その時期・形式・内容などによって分類・体系化し、相互の関係や価値を判定して仏の究極の教えがどこにあるかを解釈すること。また、それによって、よりどころとする経の優位を正当化しようとしたもの。教判。教相。判教

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

教相判釈【きょうそうはんじゃく】

教判,教相,判教とも。諸経典を釈迦一代のうちに説かれたものとして,その形式,方法,順序,意味,教義,内容などを分類し,体系づけ,価値を決めることによって,仏の真意を明らかにしようとしたもの。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

きょうそうはんじゃく【教相判釈 jiào xiàng pàn shì】

教相,教判などとも略称される。釈迦が菩提樹下に成道して以後,沙羅双樹林に涅槃するまでに説法した無数の経典を仏教の教えの諸相(教相)へ分類(判)してその順序次第を説明(釈)することにより仏教経典の根本真理と仏道修行の究極目標を確立しようとする経典解釈法のこと。これが講経会の最初に講ぜられる〈開題〉の主要テーマとなり仏教総論の意味をもったことによって大いに発達し,仏教諸宗派開創における根本宣言ともなった。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

きょうそうはんじゃく【教相判釈】

〘仏〙 各宗派の教学的立場を明らかにするため、さまざまの経典を形式や時期、意味の深浅などによって分類・判定し、自宗の依拠する経典を頂点として体系的に位置づけること。天台宗の五時八教、華厳宗の五教十宗など。教判。判教。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

教相判釈
きょうそうはんじゃく

仏教の教説の高低、優劣を、それが説かれた形式、方法、順序、内容などに基づいて判定し解釈すること。また、その結果として分類、体系化された教義をいう。略して、教判あるいは判教ともいう。中国仏教の基本的特質をなす。すなわち、中国へは諸種の仏典が、その成立の順序や相互の関連性とはほとんど無関係に次々と伝訳されていったために、中国仏教の人々は、それぞれの時点において、時代、風土、系統などを異にするさまざまの漢訳仏典の教説のなかから、何が仏教の究極の教えであるか、仏の真の意図はどこにあるかを探り出さなければならなかった。また、そうしてみいだされた自己の教義的立場の正当性を主張し、これを宣揚するために、その立場に基づいて教説全体を体系的に分類、整理することを要請された。このため、中国仏教においては、教説の異なる、ないしはそのようにみえる複数の仏典が知られるに至るとともに、教相判釈が発生したと考えられる。しかし、現在明確にしうるところでは、5世紀前半の曇無讖(どんむせん)の二教(半教(はんきょう)、満教(まんきょう))、慧観(えかん)の二教(頓教(とんぎょう)、漸教(ぜんぎょう))五時(三乗別教(べっきょう)、三乗通教(つうぎょう)、抑揚教(よくようきょう)、同帰教(どうききょう)、常住教(じょうじゅうきょう))などが初期のものである。以後、ほとんどいずれの学派、宗派においても、それぞれの立場に応じた教判が形成され、朝鮮および日本の仏教各派にも受け継がれた。三論宗の三種法輪(根本法輪(こんぽんほうりん)、枝末(しまつ)法輪、摂末帰本(しょうまつきほん)法輪)、華厳(けごん)宗の五教十宗(ごきょうじっしゅう)、天台宗の五時八教(ごじはっきょう)などは、その代表的成果であり、そこにそれぞれに独自の教学の一面が端的に示されている。
 なお、インド仏教においても、教理の分類や段階づけがまったくなかったわけではない。たとえば『大智度論(だいちどろん)』には現示(げんじ)・秘密の二種仏法の分類や、大乗と小乗の区別がなされ、また『十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)』易行品(いぎょうほん)には浄土教の教判の根拠となる難易二道説が述べられている。けれどもインド仏教は、教判を教義上の基盤、ないし支柱としているわけではなく、この点において、「教判の仏教」ともよばれる中国仏教とは根本的に相違するといえよう。[木村清孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の教相判釈の言及

【中国哲学】より

…そこで中国の学僧たちは,これこそ釈迦の真意を伝えたものと信ずる一つの経典を選択し,これを中心におき,他の経典群をその周辺におくという方法を採った。これを教相判釈,略して教判という。隋の天台大師智顗(ちぎ)が《法華経》を中心とした教判を立て,天台宗を樹立したのをはじめとし,三論,浄土,華厳,禅,法相,密教等の諸宗が相次いで成立した。…

【天台宗】より

…とくに密教を重視する後継者によって,智証大師円珍を祖とする園城寺が独立し,天台密教の特色を発揮する一方,鎌倉時代になると浄土宗,禅宗,日蓮宗など,新仏教の独立をみるのは,いずれも日本天台の特色である。 智顗の仕事は,《法華経》を軸とする教相判釈(きようそうはんじやく)と,止観の体系を完成させたことにある。教相判釈とは,大小乗の経論の相違を,仏陀一代の説法の時期によるものとし,そこに華厳,阿含(あごん),方等(ほうどう),般若,法華(涅槃(ねはん))という,五時の別を主張するもので(五時八教),さらに弟子たちの能力の向上に応ずる教化の形式という頓・漸・秘密・不定(ふじよう)の化義と,その内容に当たる蔵・通・別・円の化法を分け,諸宗の教学を総合することで,そこに《法華経》に説く一切皆成の真実と方便を,あますことなく発揮することとなる。…

【仏教】より

…中国民族の仏教として,浄土教が宋以後の主流となり,新しい居士仏教の時代となるのである。
[教相判釈と宗派]
 もともと六朝より隋・唐の仏教は,教相判釈の仕事を中心に展開する。教相判釈とは,その初伝より当事者の時代まで,前後何百年かにわたって陸続と漢文に翻訳された,すべての仏教経典を総合し体系づけることによって,教祖仏陀の根本精神を明らかにしようとする方法である。…

※「教相判釈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

教相判釈の関連キーワード出定後語南三北七二双四重華厳宗秘密教愚禿鈔道蔵自宗深浅

今日のキーワード

だまし面接

企業が面談や懇談会と称して就職活動中の学生を呼び出し、実質的には学生を選考する偽装面接のこと。2016年卒業の大学生に対する選考活動の開始時期を、従来の4月1日から8月1日以降へと後ろ倒しする主旨の「...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android