準用(読み)じゅんよう

精選版 日本国語大辞典 「準用」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐よう【準用】

〘名〙
① ある物事標準として適用すること。
※明法条々勘録‐文永四年(1267)八月二二日「但依所犯之軽重、被准用之条、合古便今者哉」
② 立法技術の一つ。ある事項に関する規定を、他の類似事項について、必要に応じて修正しあてはめること。
民法(明治二九年)(1896)三四一条「先取特権効力に付ては本節に定めたるものの外抵当権に関する規定を準用す」

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デジタル大辞泉 「準用」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐よう【準用】

[名](スル)
ある物事を標準として適用すること。「社員就業規則嘱託準用する」
ある事項に関する規定を、他の類似の事項に必要な変更を加えて当てはめること。例えば、民法上の売買の規定を他の有償契約に当てはめるなど。

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改訂新版 世界大百科事典 「準用」の意味・わかりやすい解説

準用 (じゅんよう)

法律用語。立法技術の一つであり,Aという場合についての法規を,必要な変更を加えたうえで,Bという類似の場合に適用することをいう。民法13条(禁治産の宣告の規定および禁治産宣告の取消しの規定の準禁治産への準用)や手形法77条(為替手形に関する規定の約束手形への準用)などはその例である。準用はその論理操作の性質類推に似ているが,後者解釈技術であり,前者は立法技術である点で区別される。たとえば刑罰法規の解釈においては類推解釈禁止の原則が妥当するが,立法技術としての準用は刑法251条・255条のように刑事法の領域においても用いられている。準用は法文を簡素化することができる反面,準用の際の〈必要な変更〉の要否について解釈上の疑義を招くことがある。なお判例による法の解釈において〈準用〉という表現が用いられることがあるが,これは類推解釈とほぼ同一のものと考えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「準用」の意味・わかりやすい解説

準用
じゅんよう
entsprechende Anwendung

ある事柄を規律するためにつくられた法規を,それと性質を異にする別の事柄に対して,必要な若干の修正を加えてあてはめること。修正を加える点で単なる適用とは異なり,法律上明文をもって指示されている点で解釈上の類推適用とは異なる。同種の規定を繰返す煩雑さを避けるための立法技術の一つ。

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