新保守主義[アメリカ合衆国](読み)しんほしゅしゅぎ[アメリカがっしゅうこく](英語表記)neoconservatism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

新保守主義[アメリカ合衆国]
しんほしゅしゅぎ[アメリカがっしゅうこく]
neoconservatism

一般的には,1970年代半ば以降の福祉国家に対する疑念,市場での自由競争尊重,自助精神奨励といった,英米日などの先進国に共通する風潮を指すが,アメリカ政治の文脈では,最近の保守主義の中でも,特にリベラル派からの転向組のそれをいう。こうした主張は,60年代にジョンソン大統領が実現した「偉大な社会」を福祉政策の行き過ぎとして非難し,保守化した進歩的知識人たちによって代弁されている。彼らは,人種や性の平等には賛成し,社会福祉を否定するわけでもないが,伝統的道徳観を重んじカウンター・カルチャーを嫌悪する。アラン・ブルームの『アメリカン・マインドの終焉 (しゅうえん) 』がベストセラーになったのも,80年代のアメリカ社会にこうした保守的な精神風土があったからである。近年自由市場を信奉する点では保守的とみなされるが,対外的に非介入政策を表明し,核凍結を支持する点で,旧来のリベラル派より革新的な,民主党の新世代議員とその支持者はネオリベラルと呼ばれている。

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