新株引受権(読み)シンカブヒキウケケン

デジタル大辞泉 「新株引受権」の意味・読み・例文・類語

しんかぶ‐ひきうけけん【新株引受権】

新株発行の際に、優先的に株式を引き受ける権利

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精選版 日本国語大辞典 「新株引受権」の意味・読み・例文・類語

しんかぶ‐ひきうけけん【新株引受権】

  1. 〘 名詞 〙 新株の発行があった場合に、他より優先して株式を引き受けることができる権利。

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改訂新版 世界大百科事典 「新株引受権」の意味・わかりやすい解説

新株引受権 (しんかぶひきうけけん)

他の者に優先して新株を引き受ける権利。有利な価額で引き受けることを当然の内容とするものではない。(1)株主の新株引受権 一般の会社では,定款に定めがなければ,株主は新株引受権を有せず,新株発行の際に取締役会決議で,株主に新株引受権を与える旨を定めた場合(株主割当てのとき)に,株主はこれを有する(商法280条ノ2-1項5号)。この場合には,株式の市場価格にかかわらず,額面または市価と額面との中間の価額で発行されるのが通常である。株主は持株数に応じて新株引受権を有し,新株引受権証書が発行されるときは,これによって新株引受権を譲渡できる(280条ノ4,280条ノ6ノ3)。株式譲渡を制限している会社では,株主は原則として法定の新株引受権を有する(280条ノ5ノ2)。(2)第三者の新株引受権 株主以外の第三者に与えられた新株引受権。新株引受権の行使による株式の発行価額が公正であるときは取締役会の決議で与えることができるが,発行価額が特に有利であるときは株主総会特別決議を要する(280条ノ2-2項)。(3)取締役・使用人の新株引受権 1997年改正商法が新たに設けた新株引受権(ワラント方式のストック・オプション制度に基づくもので,定款に定めがあり,正当の事由があるときに,株主総会の特別決議で与えることができ,発行価額は特に有利でもよい(280条ノ19)。(4)新株引受権付社債権者の新株引受権 新株引受権付社債(〈株式買取権付社債〉の項参照)の発行条件に従い,所定の期間内に,所定の発行価額で,所定の数の新株を引き受けうる権利。新株引受権者は,所定の発行価額より株式の市場価格が上回ったときに,新株引受権を行使して利益を得る。新株引受権付社債には,非分離型と分離型とがあるが,後者では,債券とは別に発行される新株引受権証券により,新株引受権のみを譲渡できる(341条ノ14)。
新株発行
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百科事典マイペディア 「新株引受権」の意味・わかりやすい解説

新株引受権【しんかぶひきうけけん】

募集株式の発行(新株発行または金庫株の放出)の際,優先的に株式の引受けができる権利で,会社法上は株式の割当てを受ける権利として規定されている。新株引受権は株主に与えられる場合と第三者に与えられる場合がある。→ワラント社債新株予約権
→関連項目株主割当て公募発行失権株

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新株引受権」の意味・わかりやすい解説

新株引受権
しんかぶひきうけけん
preemptive rights

株式会社が株式を発行する場合に,株式の割り当てを受ける権利。2005年改正前商法においては,株主の新株引受権と第三者の新株引受権とがあった。株主の新株引受権は株主資格に基づいて与えられる権利で,定款で株式の譲渡制限を定めている会社の株主には法律上付与され,それ以外の会社の株主に対しては,定款の定めまたは取締役会の決議により与えることが認められていた。株主以外の第三者に対して特に有利な発行価額をもって新株を発行する場合は,株主の利益を保護するため,株主総会において理由を開示したうえで,特別決議により新株を発行する第三者の範囲や発行株式の種類,数,最低発行価額などを定めなければならないとされていた。2005年制定の会社法には新株引受権という概念はなく,株式会社は株式募集の際,株主に「株式の割り当てを受ける権利」を与えることができる旨が規定されている(会社法202条1項)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新株引受権」の意味・わかりやすい解説

新株引受権
しんかぶひきうけけん

株式会社が新株を発行する場合に、その新株を他に優先して引き受けることができる権利。

[編集部]

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株式公開用語辞典 「新株引受権」の解説

新株引受権

会社が発行する新株を優先して引き受ける権利のこと。既存の株主に持ち株数に応じて、新株引受権を与え、新株を割り当てるものを株主割当といい、株主以外の第三者に対して新株引受権を与えて新株を割り当てるものを第三者割当という。2002年4月の商法改正により、新株予約権制度が創設され、株式を一定の条件で取得できる権利を「新株予約権」というが、これは新株発行と関係なく与えられるものであり、新株引受権とは性質が異なる。

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世界大百科事典(旧版)内の新株引受権の言及

【額面増資】より

…株主以外の者にとくに有利な価額で新株を発行することを強く制限している商法の規定(280条ノ2)により,額面増資は株主割当増資となるのが通例である。額面増資を取締役会で決議した会社は,新株引受権を有する株主を確定するために割当日を定め,その日の2週間前にその旨(新株引受権を譲渡できるようにするときはその旨)を公告しなければならない。株主が確定すると,各株主に対して割当株数,引受権譲渡の内容等,および一定の期日(申込期日)までに申込みをしないときは引受権を失う旨の通知(失権通告)をしなければならない。…

【株式】より

…会社成立後に新株を発行する場合には,既存の株主の利益に対する配慮が必要である。すなわち,既存の株主に新株引受権(発行される新株を優先的に引き受ける権利)を与えて新株を発行する場合には,既存の株主の利益を損なう可能性がないから問題はないが,そうでない場合には,時価で発行しないと,既存の株主に経済的損失を与える可能性がある。たとえば,株式の時価が1000円している場合に,発行価額を500円にして倍額増資(従来発行されている株式数と同数の新株を発行すること)すると,理論上,株式の時価は750円に下がることになり,既存の株主はその有している株式1株につき250円の損失をこうむることになる。…

※「新株引受権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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